平成生まれも「当時」を懐かしがった『ALWAYS 三丁目の夕日』

お菓子や、鉄道、アニメのグッズなど、かつてのデザインを復刻した商品が売られているのを目にすることは多いでしょう。それを見た時、「懐かしい」と感じる気持ちの裏には、どんなマーケティングの要素が潜んでいるのでしょうか。「昭和」を描いた映画作品のうち、2005年公開で幅広い世代の心をとらえた『ALWAYS三丁目の夕日』と、世界最長シリーズ『男はつらいよ』の「懐かしさ」から考えていきます。

「角は一流デパート白木屋、黒木屋さんで、紅白粉のお姉さんに、くださいちょうだい、いただきますと千や二千はくだらない品物です」。これ、誰が言ったか、知っていますか? 『男はつらいよ』で渥美清が演じるフーテンの寅さんがテキ屋としてモノを売るときに、よく言っていたセリフです。この映画、1969年から1995年まで全48作が公開された世界最長のシリーズとして有名ですよね。子どもの頃は、何やら古くさい映画だと思っていましたが、30代を過ぎたあたりで、はまってしまい、全作通して少なくとも3回は見たと思います。

この作品では、人間情緒あふれる下町が存分に描かれています。しかし、全48作の原作・脚本を担当した山田洋次監督は、どこかのインタビューで、そんな下町なんて実際には存在しない、みんなが憧れるファンタジーとしての下町情緒を描いただけだ、と言っていました。つまり昭和の当時、この映画を見ていた人から見ても「懐かしい」と思うような現実にはない遠い「過去」を描いていたのです。

今回は、この懐かしさについて考えてみます。キーワードは、ノスタルジアです。ノスタルジアとは、過去を悲しみと憧れの入り混じった思いで振り返るほろ苦い感情を意味します。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

博報堂ケトル・嶋浩一郎さんとの共著もおすすめです!

この連載について

初回を読む
今さら聞けないマーケティングの基本の話

松井剛

何気なく使っているマーケティング用語。そのことばの裏には、あなたのビジネス、さらには世の中の見方を変える新たな視点が隠れています。一橋大学経営管理研究科・松井教授が、キーワードをゆったりと、しかし的確に解説するこの連載。他人の成功体験...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

ux_market 社会的に共有された記憶、経験してない事に対して懐かしさを感じる事もあるそうです。 2年以上前 replyretweetfavorite

matsu_take このように社会が共有している記憶のことを集合的記憶と言います。直接、その過去を経験していない若い人も、親や学校、メディアなどを通じて、社会として「経験」した歴史的事実を学び知っているのです。 https://t.co/bVI3cr7JIc 2年以上前 replyretweetfavorite