温暖化」の影響によって村を追われた家族の部屋

「自然災害に翻弄される家族の部屋」(マダガスカル)と「15歳で息子を産んだ母の部屋」(ジャマイカ)。ある若きフランス人写真家が6年かけて世界を旅し、55ヵ国1,200人のベッドルームを撮影。世界の「違い」を「同じアングル」であぶりだした壮大なドキュメンタリー作品がついに日本上陸。
都築響一も絶賛! 3月16日発売 『My Room 天井から覗く世界のリアル』より特別連載。

Madagascar/マダガスカル

マダガスカル:危機的な干ばつにあえぐ国
人口:2492万人 平均月収:情報なし 公用語:マダガスカル語、フランス語

自然災害に翻弄される家族の部屋

「村が好きですが、あそこにはもう将来がありません。」
Marilyn / 19歳 売り子

Salama tsara? Tonga soa ato amin’ny efitranoko. アフリカ大陸の東に浮かぶ島国、マダガスカル。その最南端の町で生まれたMarilynは、自分の土地を後にせざるをえなかった1人だ。頻度を増す干ばつにより、人口の90%以上が貧困線(最低限の生活も維持できないとされる境界線)を下回る生活を強いられている。生きるための最終手段として、 3世帯に1 世帯は物乞いをしたり土地を売っているという現状だ。

「テレビではすべて地球温暖化によるもので、これからますます状況が悪化すると言っています。政府は何年も前から解決策を探していますが、今のところ成果はなしです。村が好きですが、あそこにはもう将来がありません。」

彼女の一家はもともとトウモロコシと粟を生産する農家だった。しかし、サイクロンの襲来や5年間続いた干ばつ(それは5年間穀物が収穫できなかったことを意味する)により、雨が降らない地面は砂漠のように渇き、食べ物は底をついた。

彼女は2年前から、この部屋で夫と2人の子どもたちと暮らしている。夫は裕福な家庭の番人をしており、故郷でこれ以上良い仕事が見つからなかったため、ここに引っ越してきたそうだ。彼女はというと、家の前で木炭や穀物、インゲンを売っている。市場で買ったものを同じ日にもう少し高い値段で売るのだそうだ。

今の暮らしも貧しいものだが、少なくとも夫には安定した収入がある。彼女もなんとか仕事を見つけることができれば状況が良くなる、といちるの希望を話していた。


Jamaica/ジャマイカ

ジャマイカ:太陽が輝き、黒点がにじむ国
人口:288万人 平均月収:5万8千円 公用語:英語

15 歳で息子を産んだ母の部屋

「幸運にも、ここはジャマイカなのよ! 」
Camiile / 27歳 美容師

Hey. Wah gwaan? 世界一の砂浜。1 年中太陽が輝く国。しかし、犯罪や暴力という黒点がにじむ国。大きな問題の1 つが、若い女性たちが高校を卒業する前から子どもを産んでいるという状況だ。首都キングストンのウォーターハウス、警察も恐れて立ち入らないこのエリアにCamilleの家族は3代前から住んでいる。この家には9人が暮らしており、彼女はベッドを姪2人と共有している。

彼女は27歳にして、12歳と10歳の2人の息子がいる。妊娠したときはまだ未成年だった。男に恋をしていたし、自らが望んだ選択だった。父親とは一緒に暮らしてはいないが、今でも良い関係を保てているという。

「私は息子たちを心の底から愛しているし、何も後悔してはいない。ただ、彼らを産むのがもう少しあとだったら、人生は変わっていたかもしれないけれどね。」

彼女の周りの女性のほとんどは、投票年齢未満にもかかわらず半分以上がすでに子持ちだ。週末の夜、若者たちは酒を飲み、踊る。成り行きを気にせず、体を重ねる。「コンドームを使え」という忠告を聞かない。しかし、それでも彼女は「幸運にも、ここはジャマイカなのよ!」と笑う。

「パーティーが続いても、誰も外で寝ることはないわ。この貧しい地区でも、9人に必要な場所があれば10人になっても問題はないのよ! 」

都築響一も絶賛! 世界の「違い」を「同じアングル」であぶりだした壮大なドキュメンタリー作品がついに日本上陸!

この連載について

初回を読む
My Room 天井から覗く世界のリアル

ジョン・サックレー

天井から、部屋を覗くと、世界が見えた。ある若きフランス人が6年かけて世界を旅し、55ヵ国1,200人のベッドルームを天井から撮影。格差、矛盾、夢、歴史…、世界の「違い」を「同じアングル」であぶりだしたドキュメンタリー作品。ナショナルジ...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

Tweetがありません