前代未聞の狙撃殺人事件の犯人は誰だ?

「受注数世界一の、殺しの会社を創りたいんです」
女子大生、桐生七海は本気だった。「営業」ができない、「広告」も打てない、「PR」なんてもってのほか、世界一売りづらい「殺し」をどう売るか――、そんな無理難題を「最強のマーケティング技巧」を持つ西城に弟子入りすることで解決しようとする七海。今話題の書店経営者が初めて書く新しいマーケティング&エンタメ小説、第13回。

「東京芸術劇場から豊島公会堂に会場が変更になったのは、一週間前のことだった。豊島公会堂とは違って東京芸術劇場のコンサートホールは、とても外から狙えるような場所じゃない。最初から計画していたのよ。会場を変更することを。ここなら、ステージ上の山村詩織を遠くから狙うことができるから」

「でも、たしか、会場を変更したのって……」

「明良君」

秋山の思考を遮るように、響妃は改めて秋山の名前を呼んだ。そして、秋山の目を見つめた。その目が、いつになく、哀しみに満ちているように秋山には思えた。

「大切な人が殺されたとき、誰が犯人だったら、人は一番悲しいと思う?」

「わかんないよ、誰に殺されたって、悲しいと思うよ」

そうかも、とふっと響妃は儚げな笑みを浮かべる。

「私はね、一番大切な人が、一番大切な人に殺されたとき、人はどうしようもなくやりきれない哀しみに囚われると思うの」

「一番大切な人が、一番大切な人に殺されたときって、まさか……」

秋山の脳裏に、くっきりと「自殺」という文字が描かれる。

「犯人は、山村詩織本人だったってこと?」

わからない、と響妃は首を横に振る。

「ただ、そう考えると、すべての辻褄が合う」

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殺し屋のマーケティング

三浦崇典

「受注数世界一の、殺しの会社を創りたいんです」 女子大生、桐生七海は本気だった。「営業」ができない、「広告」も打てない、「PR」なんてもってのほか、世界一売りづらい「殺し」をどう売るか――、そんな無理難題を「最強...もっと読む

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