「TOKYO OTAKU MODE」 のfacebookページより
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文化の輸出は日本を支えるのか
政府は今年3月15日に開かれた閣議で、日本が強みを持つアニメやファッションなどを題材にしたビジネスを海外で展開する企業に資金面の支援を行う新しい組織「クール・ジャパン推進機構」を設立するための法案を決定した。
政府は、アニメやファッションに加え、伝統芸能や伝統工芸などを海外に広めることを重要政策と位置づけている。この法案は早ければ6月中にも国会で成立する見込みで、今後、株式会社クール・ジャパン推進機構(仮)が設立された後、同社を通じてクール・ジャパン分野への投資がなされる予定だ。
しかし、一方で、今、日本の文化・芸能は海外ではどの程度評価されているのだろうか。投資の対象となるだけの戦略は日本にあるのか。本コラムでは3回シリーズでクールジャパン政策の行方をテーマに、具体的にどのような成長モデルが考えられるのかをひも解いていきたい。
初回は、アメリカ・シリコンバレーの投資家たちが注目する、クール・ジャパンの動きをリポートする。
言語の壁を乗り越えた日本人プロジェクト
アニメ文化を世界に発信する日本発のメディアに、今、米国内の投資家などが異様に高い関心を示している。
「TOKYO OTAKU MODE」というfacebookページを覗いたことがあるだろうか。 ページの購読者数は現在1000万人を越えている。MicrosoftやSONY、CNNのページが200万人から400万人程度、Appleが906万人という数字を考えると、このページがどれだけ多くの人たちの支持を集めているかがわかる。しかも、TOKYO OTAKU MODE(以下TOMと表記)のページがスタートしたのは2011年の3月。急速に購読者を増やしてきた。
ページを覗くと、アニメやコスプレ、フィギュアなどに関する記事が写真とともに毎日更新されている。筆者はアニメ文化については、機動戦士ガンダムのシリーズや聖闘士星矢など、80年代から90年代にかけて幼少期にリアルタイムでみていたもの以外はあまり馴染みがないので詳しくないが、素人目に見てもクオリティの高い写真やイラストが並んでいて目を引く。
更新される記事は、TOMが独自に取材したものや、アニメ制作会社から提供を受けた公式画像などで構成されている。音声ソフトのキャラクター・初音ミクを模したフィギュアの記事や、アニメ・ワンピースのキャラクターで弁当をトッピングした写真などには2万を越える「いいね!」がつけられ、コメント数も500件にのぼるなど、異様な盛り上がりを見せている。
このページの最大の特徴は、実は、全て英語で記事が書かれている点。聞くと、購読者の90%以上が海外からのアクセスだという。欧米をはじめ、アジア、アフリカにこのページのファンがいる。
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