美女入門

人妻だけどデートしたい。この欲望こそがダイエットの原動力。 

「美女入門」アンアン連載1000回を記念して、最新刊『美女は天下の回りもの』と、文庫『 美女千里を走る』が、絶賛発売中です! 「林真理子書店」ほか、全国書店で「特製プレイバック小冊子」も配布中。お見逃しなく。cakesでは、記念すべき第1話から、順次特別連載しています。マリコの名セリフの数々、たっぷりご堪能ください。第22話は、1998年3月19日号「ダイエットの素」。

最新刊、絶賛発売中!

『美女は天下の回りもの』(マガジンハウス)

 ぐずぐずと風邪が治らない。咳と鼻水がずっと続いているのである。お医者さんに行くほどでもないという風邪がいちばん長びく。

「とにかくいっぱい食べて、ぐっすり寝てください」

 と秘書のハタケヤマがうるさく言うので、仕事以外はほとんどベッドの中にいて、ずっとミステリーを読んでいた。時たま起きてご飯をつくる。夜はいつもオットの分だけ炊き、自分はちょっとおかずをつまむぐらいにしている。もちろんダイエットのためである。
 ところが、“風邪を治す”という名目のため、たっぷりご飯を二杯食べる。もらいものの筋子とかシューマイとか、おいしいものもいっぱい。寒いのでつくっておいたケンチン汁もいい感じ。たらふく食べてベッドにもぐり込むという生活を半月続け、そして私はヘルスメーターの上に乗った。
 ギャッ!!  卒倒しそうになる、というのはああいうことを言うのであろうか。最近の新記録をうち立てていたのである。道理でお腹のへんにずっしり重みがついていたと思った……。

 私がこの世でいちばん尊敬出来る人というのは、自分の体重管理が出来る人である。ジムに通い、水泳を続け、自分のハダカをいつも鏡に映してチェックする人、そんな人に私はなりたい。
 そんな人にとうていなれない私が、ますますデブになって、何がいちばん嫌かというと、男の人に対して消極的になるということである。私はヒトヅマであるから、積極的に出てどうのこうのということはもちろんない。が、妄想の中でといおうか、精神的にハートマークを持つことはよくある。

「この人、ステキ……」

「もしこの人と恋をしたらどうなるかしら……」

 と考えたとしても何が悪いんだい。
 こういう私をテツオは「ハンフリン・ボガート」と呼ぶ。つまり「半不倫」を気取っている奴ということである。
 さて久しぶりに私はA氏とデイトをした。このA氏は私の男友だちの中でもピカイチの存在といっていい。インテリなのにハンサム、私と同い齢であるが多分に少年っぽさを残している。私はかなり心ひかれているのであるが、彼は私の友人と不倫(こちらは全不倫)をしていたという過去を持つ。

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美女入門

林真理子

ついに1000回を迎えた、アンアン連載「美女入門」。1997年の第1回には、こんな一文があります。「キレイじゃなければ生きていたってつまらない。思えば私の人生は、キレイになりたい、男の人にモテたいという、この2つのことに集約されている...もっと読む

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marekingu #スマートニュース 11ヶ月前 replyretweetfavorite