山本 昌
プロフェッショナルは「結果」より「過程」を重視する
「過程(プロセス)」や「姿勢」が評価された時代はとうに過ぎ去り、何かと「成果」が求められる現代社会。仕事の面でプレッシャーや窮屈さを覚える人も多いことでしょう。ところが山本昌さんは32年のプロ野球人生を振り返りながら、「結果に縛られてはいけない。しっかりとした過程を踏むことが大切だ」といいます。「結果がすべて」のプロ野球界でいくつもの最年長記録を樹立した“レジェンド”の真意とは?
悩める巨人のエースへの助言
昨年の春、巨人のキャンプで菅野智之投手と雑談する機会があった。
菅野投手の表情は、いまひとつ冴えなかった。
「いいピッチングをしても、なかなか勝てなくて……」
名実ともに巨人のエース。入団1年目から13勝6敗、12勝5敗と順調に勝ち星を積み上げてきたが、3年目は10勝11敗、4年目は9勝6敗と伸び悩んだ。とはいえ、この間の防御率は1.91、2.01。悪くないどころか、非の打ちどころがない。15勝していても不思議ではない数字だ。ただ、いい投球をしながら勝てないのだから、悩みは深い。このつらさは痛いほどわかる。
このときぼくは、こういって菅野投手を励ました。
「投球そのものは問題ないから、なにも変える必要はないよ。いつものように投げることを考えればいい。そのうち流れが変わって、打線も打ってくれるようになるはずだから」
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セカンドキャリアを楽しむためには、ちょっとの努力とコツがいる
この連載について
山本 昌
第二の人生は現役時代より忙しい――。50歳でのプロ野球界引退後、現在は野球解説者、コメンテーターとして引っ張りだこの山本昌さん。「マイナス思考の塊だった」という彼の人生を変えたのは、たった1つの習慣だった⁉ 仕事と趣味の2つの視点でセ...もっと読む
著者プロフィール
1965年8月11日生まれ。1984年に日本大学藤沢高校からドラフト5位で中日ドラゴンズに入団。32年に及ぶ現役生活で3度の最多勝に輝き、1994年には沢村賞を受賞。2006年には史上最年長でのノーヒットノーランを達成(41歳)。以降も数々の歴代最年長記録を塗り替え、2008年には通算200勝を達成(42歳)。史上初となる50歳での登板を最後に、2015年に現役を引退。セカンドキャリアでは、野球解説者・スポーツコメンテーター、講演会講師として精力的に活動。ラジコン、クワガタのブリーダー、競馬など趣味の分野でも活躍中。Twitter:@yamamoto34masa