悩める巨人のエースへの助言
昨年の春、巨人のキャンプで菅野智之投手と雑談する機会があった。
菅野投手の表情は、いまひとつ冴えなかった。
「いいピッチングをしても、なかなか勝てなくて……」
名実ともに巨人のエース。入団1年目から13勝6敗、12勝5敗と順調に勝ち星を積み上げてきたが、3年目は10勝11敗、4年目は9勝6敗と伸び悩んだ。とはいえ、この間の防御率は1.91、2.01。悪くないどころか、非の打ちどころがない。15勝していても不思議ではない数字だ。ただ、いい投球をしながら勝てないのだから、悩みは深い。このつらさは痛いほどわかる。
このときぼくは、こういって菅野投手を励ました。
「投球そのものは問題ないから、なにも変える必要はないよ。いつものように投げることを考えればいい。そのうち流れが変わって、打線も打ってくれるようになるはずだから」