ラバー・ソウル』を聴くと思い出す30年前の友達

懐かしいあの曲を聴くとあの時の出来事がよみがえる、あのタレントを見るとあのCMを思い出してさらには当時の自分を思い出す、という経験は誰にでもあるでしょう。今回は、そんな数珠つなぎの記憶とマーケティングの重要な関係についてのお話です。

学生時代に繰り返し聞いた音楽を偶然、耳にすると、当時つきあっていた彼氏彼女のこと、その時に受けていた授業や先生のこと、使っていた歯磨き用のコップのこと、通学で使っていた駅の駅員のことなど、およそ音楽に関係ないことまで次々と思い出すことってありませんか? ぼくはビートルズの『ラバー・ソウル』を聞くと、別の中学校に転校したばかりなのに、このアルバムを貸してくれた親切な同級生のことを思い出します。そう書きながら、久しぶりにこのアルバムを聞き始めてしまいました。2曲目の「ノルウェイの森」を聞くと、すぐに高校生の時に読んだ村上春樹の『ノルウェイの森』のことを思い出しました。おもわず全部聞いてしまいそうなので、とりあえず音楽を止めます。

さて、このように人間って、いろんなこと事細かに覚えていたりします。それにも関わらず、忘れてはいけないこと—切れた醤油を買うとか、学生の推薦書を書くとか—をすっかり忘れてしまうことも多々あります。困ったものです。

なんでこんなことが起こるのでしょうか。記憶には短期記憶と長期記憶の2つがあることが、どうやら理由のようです。今回は、この2つについて考えてみましょう。

短期記憶とは、現在、使っている情報についての短期的な記憶です。つまりすぐに忘れてしまいます。例えば、電話で予約をしたレストランの電話番号は、その瞬間は憶えていても、すぐに忘れますよね。

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今さら聞けないマーケティングの基本の話

松井剛

何気なく使っているマーケティング用語。そのことばの裏には、あなたのビジネス、さらには世の中の見方を変える新たな視点が隠れています。一橋大学経営管理研究科・松井教授が、キーワードをゆったりと、しかし的確に解説するこの連載。他人の成功体験...もっと読む

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matsu_take 「例えば、原田知世さんをテレビで見かけたら、映画『私をスキーに連れてって』のことを思い出して、若い頃、しょうゆ顔の本命男が運転するシルビアでスキーに行ったことを、さらに思い出すかもしれません。あるいは、JR SKI... https://t.co/HJtQiTo6fN 2年以上前 replyretweetfavorite