鼻血は鼻をつまめば止まる
五感のひとつである嗅覚は、鼻の奥にある「嗅細胞」によって感知されます。においの元になる化学物質が、嗅細胞に触れると、その刺激が電気信号に変換されて、脳に伝わるのです。
鼻の穴を左右に分ける壁は「鼻中隔」といい、軟骨と粘膜でできています。「鼻の骨が折れる」というのは、ここが折れることを指すことが多いようです。
鼻中隔の下前方、すなわち鼻の穴のすぐ上には、毛細血管が豊富な場所があり、「キーゼルバッハ部位」とよばれます。鼻血はたいていここから出ます。鼻血が出ると、ちり紙を丸めて詰める人が多いですが、それより鼻をつまむ形でこのキーゼルバッハ部位を圧迫したほうが早く止まります(時間は5分から10分。手を離すときにそっと離すのがコツ)。うなじを叩く人もいますが、これはまったく効果がありません。
鼻血はさしたる原因もなく出ることもあるので、さまざまな俗説が流布しています。性的に興奮したら出るとか、チョコレートやピーナツを食べすぎると出るなどですが、これらは根拠がありません。ですが、鼻腔内の腫瘍、動脈硬化、血友病や白血病などで出る場合もあるので、鼻血を繰り返すときは、医師の診断を受けたほうがいいでしょう。
鼻水は、鼻腔内の腺細胞や杯細胞から分泌される液で、粘膜保護のため、絶えず分泌されています。蛋白質を含むので、乾くと固形になり、いわゆる「鼻くそ」になります。鼻くそは大きいものが取れると、なんとなくうれしくなります(私だけかもしれませんが)。すぐに捨てるのが惜しくて、指でこねくりまわしたりすることもあります。においを嗅ぐと、どこか懐かしいにおいがするのは、やはり自分の一部だからでしょう。
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