長所を伸ばす努力をして、「とがったプロフェッショナル」を目指すべき
努力することを「苦行」だと捉える人は、とりわけ苦手な分野において、努力することに価値を見いだしがちです。ですが、自分が苦手な分野で闘うというのは、それに伴う苦痛が非常に大きいわりに、効果はあまり高くありません。その結果、決して長くは続きません。
苦手なものは人並みかそれ以下でも仕方ない。その分、得意分野でカバーするのが、ひとつの鍵です。苦手なことにみずから進んで歩み寄る必要はありません。
まず、何かひとつ、本気で努力を始めるなら、絶対に自分の得意分野にするべきです。私も、本気で努力するのは自分の得意分野のみにおいて、と決めています。最近の新聞には、各難関大学が「とがった人材」を求めていると書かれています。
ある人の能力を、「レーダーチャート」と呼ばれるグラフにまとめるときのことを考えてみてください。「レーダーチャート」とは、たとえば、「論理力」「創造力」「継続力」とかそれぞれの指標ごとに、5段階評価などをしてまとめる、あのグラフのことを指します。どの分野でも3をとった場合には「レーダーチャート」は円に近い形になります。
それに対して、たとえ他の分野で1や2であっても、特定の分野で5とかそれ以上の成績を示す人の「レーダーチャート」は鋭角になります。
私は、この特定の分野において誰かの心に爪痕を残すような、確かな力を持つ人、こういう人を「とがった人材」と呼べるのではないかと思います。
安定して成長を続ける社会においては、可もなく不可もない人材は重宝されて、年齢が上がるに従って順調に出世していけたと思います。ただ、今はそういう時代ではありません。終身雇用や年功序列は崩れつつあり、調和のなかでみんなと一緒に順当に前に進んでいくことが難しくなっています。
ですが、それは同時にチャンスの時代でもあります。どこかで「とがった能力」をアピールできれば、一足飛びに自分の可能性を広げられるということも意味するからです。
だからこそ、自分の得意分野を、趣味や特技ではなくて、仕事に直結する能力にまで高める必要があります。逆に、そういう強い武器があれば、苦手分野の仕事は誰か分業できる機会が多くなるはずです。
職場で努力を実らせるには
具体的に、私の得意分野について書くと、私は、自分の能力の核は、インプットの速さと精度、特に「読むこと」にあると自覚しています。だから、今までもこの分野を磨くように努力してきました。そして、この分野の能力を発揮する機会は、決して見逃さないようにしています。
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