2017年は銃乱射事件が史上最悪だった
バレンタインデーの2月14日、フロリダ州パークランドのマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校で乱射事件が起こり、高校生と教師17人が殺害された。犯人は、この学校を退学になった元生徒だった。
衝撃的な事件だが、当初は「アメリカはどうせ変わらないだろう」と悲観的だった。
アメリカでは2017年だけで346件、2018年になってからは2月13日までに29件もの銃乱射事件が起こっていた。2017年は、近代では銃乱射事件で最も多くの死者を出した年となった。
2016年までのCDC(アメリカ疾病管理センター)のデータによると、銃による死亡数の1日平均は、殺人が35人、自殺は59人、事故が1.4人、原因不明が0.8人。なんと、毎日96人が銃で命を失っているのだ。
悲惨な事件が起こっても、かえって銃の売上げが上がるだけで銃規制はまったく進まない。
ゆえに、「どんなに政治家に呼びかけても銃はなくならない。だから、学校や私たちが生き方を変えるしかない」という諦めが漂っていた。
一変した小学校の景色
身近にもその例がある。
数年前、全米でもトップにランキングされているわが町の公立小学校に、日本からの視察グループをお招きしたことがある。
わが娘が幼いときに通った小学校だが、雰囲気はずいぶん変わっていた。
変化したのは新校舎の美しさだけではない。災害に備えてすべてのドアは中からは開くが、外からは開かないようになっていた。部外者が入ることができるのは正面ドアだけで、常に鍵がかかっている。インターフォンとカメラで素性を明らかにしないとドアを開けてもらえない。
娘が幼稚園を始めたとき、校長が親たちに「ドアはいつでも開いていますから、いつでも遊びに来てください」と語りかけた20年前とはまったく異なる状況だ。
案内してくれた女性校長は、腰につけている無線機で正面オフィスと交信して、こう言った。
「もし銃撃事件が起こって指揮者の私が倒れたら、すぐさま副校長が指揮を引き続くことになっています。とても嫌なことですが、サンディフック小学校の事件以降、うちの学校でも予防対策を取らざるを得なくなりました」
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