愛と結婚について考える
『専業主婦は2億円損をする』(マガジンハウス)
プライスレスなものが尊い
愛とはなんでしょう。それは、値段がつけられないほど大切なものです。だからこれを「プライスレス」としましょう。
ところで、世の中はプライスレスなものだけでできているわけではありません。コンビニに行けば、値段のついた商品が並んでいます。これは「プライサブル」です。
彼氏とラブホテルに行って、セックスのあとに「これ、プレゼント」といっておしゃれな指輪をもらったらものすごくうれしいでしょう。そのかわりに、「はい」と1万円札を3枚差し出されたら、ものすごく怒りますよね。
しかし、よく考えるとこれはヘンです。3万円の指輪と3万円の現金は同じ価値ですし、好きなものをなんでも買える現金のほうが使い勝手がいいともいえます。だとしたら、1万円札3枚差し出されたときも、指輪をもらったのと同じくらい喜ばないとおかしい……。
経済学者というのはこういうことばかり考えているひとたちで、それで評判が悪いのですが、この理屈はまちがっているわけではありません。だったらなぜ、指輪はうれしくて、現金はものすごく腹が立つのか? それは、「プライスレス」なものを「プライサブル」にしているからです。
値段のわからない指輪は、(あまりに安物でないかぎり)プライスレスな愛情を象徴しています。ところがそれに3万円という値段をつけると、「お金のためにセックスする女」つまりは売春婦になってしまうのです。
家事をお金に換算するのは大間違い
“愛”を維持するには、ふたりの関係がプライスレスでなければなりません。愛情なんて恥ずかしいことをいわなくても、夫婦や家族のあいだにお金が入ってくると大切なものが壊れてしまうことをむかしのひとはよく知っていました。
かつては、給料日には封筒に入った現金が社員に配られました。すると夫は、それをカバンに入れて家に帰り、封を切らないまま「はい」と妻に渡します。妻はそこから家計をやりくりし、夫に小遣いを渡していたのです。
給料が銀行振り込みになると、銀行通帳とキャッシュカードは妻が管理するようになりました。こうして夫と妻の役割をはっきりさせて、ふたりの関係を「プライスレス」にしていたのです。
この続きは有料会員の方のみ
cakes会員の方はここからログイン
読むことができます。