むやみにお金をばらまかない
お金持ちは人づき合いをするときに羽振りよくお金をばらまいている——。
そんな印象を抱く人は少なくありません。高級レストランや高級料亭、高級クラブ……。仲間を引き連れて一晩で何十万、何百万円と豪快に散財するようなイメージを持っているようです。
たしかに、そのようなバブリーなお金の使い方をする人もいます。しかし、それは賢いお金持ちではなく、残念なお金持ちです。そういう雑なお金の使い方をしているお金持ちは、いずれ資産を大きく失う結果になります。
賢いお金持ちは、会食をするとき「おごる・おごられる」の関係になることを嫌がります。もちろん、お祝いの席やお礼の場、相手がだいぶ年下の場合は別ですが、基本的にはフラットな関係であることが多いのです。
なぜなら、むやみに貸し借りをつくると、人間関係が複雑になるからです。たとえば、高級料亭で食事をご馳走してくれた相手が、何らかの仕事上のお願いごとをしてきたとします。たとえば、「うちの商品を買ってほしい」「〇〇さんに口利きしてほしい」という依頼されたら、借りがある手前、むげに断りにくくなります。「今回は仕方ないか」と渋々相手の依頼を飲んでしまうと、その相手にイヤな感情を持ってしまい、これまでの良好な人間関係が崩れてしまうおそれがあります。
だからこそ、賢いお金持ちは、むやみに貸し借りをつくることを避けるのです。そういう意味では、いわゆる接待をすることもほとんどありません。
もちろん、貸し借りをつくることや接待は、ビジネスを円滑に行う上で効果的な場合もありますが、あなたが賢いお金持ちを目指すなら、貸し借りをつくるような人間関係は長続きしない、ということを肝に銘じておいた方が賢明でしょう。
値が張ってもお店選びは重視する
「お金持ちは、どういうお店で会食をしているのですか?」という質問をされることがあります。
賢いお金持ちでも趣味嗜好が異なるので、隠れ家風の小料理屋が好きという人もいれば、高級レストランや料亭でしか会食はしないという人もいます。
ただ、共通していえることは、誰かと会食するときは、相手としっかりと、そして楽しく話ができるお店を利用する、ということです。
賢いお金持ちにとっては、お金よりも時間の方が大事なので、会食の時間もムダにすることを嫌がります。
せっかくお互いに貴重な時間を割いて会っているわけですから、ゆっくり会話ができるお店であることが条件になります。そういう意味では、隣のテーブルの会話が丸聞こえで、相手の声が十分に聞き取れないくらい騒がしいお店を使うなど、もったいないことはありません。それよりも気兼ねなくプライベートな会話もできる個室を好みます。
また、料理と酒は、コミュニケーションの潤滑油。やはりそれなりの食材をつくった料理を、腕のよい板前やシェフがつくってくれるお店の方が、会話も弾み、印象深い会食になります。
これらの条件を満たすお店を探そうとすれば、それなりに値が張るのは仕方ありません。賢いお金持ちは、それらを人づき合いのための必要経費だととらえているのです。
このような話をすると、「やはりお金持ちは高いお店で食べているのか。イメージ通りだ」とがっかりするかもしれませんが、賢いお金持ちは毎日のように高級な食事をしているわけではありません。
職業や立場にもよりますが、私が知る賢いお金持ちに限れば、高級店で食事をするのは、月に数回。月に1回あるかどうか、というお金持ちもいます。
何よりも時間を大切にしているので、毎日のように外食するようなことはありません。だから、出費に占める飲食代は、イメージよりもずっと少ないはずです。
5回の居酒屋よりも1回の高級店
一方で問題なのは、毎日のように飲み歩いている人です。
仕事や家庭のストレスがたまっているからといって、同僚や部下と安い居酒屋でくだを巻いている人は、かなりの時間をムダにしていますし、いくら安い居酒屋でも出費は少なくないはずです。
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