左目が眩しいデビッド・ボウイ
最近、虹彩の紋様で人を特定する「虹彩認証」が実用化されつつありますが、これは虹彩の紋様(母親の胎内で眼球が形成されるときに虹彩にできる皺)が、2歳前後から一生変化しないことから考案されたものです。
虹彩が退いて瞳孔が開いた状態を「散瞳(さんどう)」、虹彩が伸びて瞳孔が縮んだ状態を「縮瞳(しゅくどう)」といい、大きさは直径8㎜から2㎜程度まで変化します。
瞳孔の大きさは、光の量だけでなく、神経の働きでも調節されます。瞳孔散大筋は交感神経、瞳孔括約筋は副交感神経で収縮します。交感神経は「闘争か逃走(fight or flight)」のときに興奮する神経なので、視覚情報力を高めるために瞳孔を開き、逆に、休息のときには副交感神経が興奮して、ゆっくり休めるように瞳孔を縮めて視覚情報を減らします。
瞳孔の大きさは、薬で調節することもできます。眼科の診察では「眼底」(網膜)を見るために、眼球内に光を当てますが、光が入ると縮瞳になって、中が見えにくくなります。そこで「ミドリン」という点眼液を使って、瞳孔を広げて観察しやすくします。瞳孔が開くと、必要以上に光が入るので、とても眩しく感じます。医学生時代、眼科の実習のときに、試しにミドリンを自分の眼にさしてみたら、曇りの日なのに快晴のように明るく見えました。
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