名刺ゲーム

ミツ蜂って、体温をあげてスズメ蜂を蒸し殺しにするんですって

息子の和也を人質にとられ、謎の男に『名刺ゲーム』への参加を強いられている神田達也。六枚の名刺のうち、最初の一枚を元の持ち主に返すことができたものの、残る名刺は五枚もあった。名刺の正しい持ち主を目の前の人間からそれぞれ選ぶことができなければ、息子の命が救われることはない――。神田が次に返すべき名刺は「Qプランニング クイズ作家セクション 木山光」。木山……コイツ一体誰なんだ……!?

2nd Stage

1 玉虫色のスカーフの男

 日本人は他の国の人に比べて怖がりやすいって知ってます? 恐怖を感じやすい恐怖遺伝子ってものを多く持っているとか。日本人の九七%は恐怖遺伝子を持ってる、なんて報告を見たこともありますよ。ちなみにアメリカの白人は七七%で、他の国の人は六〇%台、五〇%に満たない国の人なんかもいますから、日本人がどれだけ恐怖遺伝子を持ってる怖がりかどうか、分かりますね。まあ、逆に言えば繊細なんでしょうけどね。

 大脳の真ん中にある「扁桃体」って部分がね、恐怖を感じるんです。海馬のすぐ近く。海馬は記憶を司る部位、メモリだとして、扁桃体はね、好き嫌いなどの感情を司る部位。出会ったものが自分にとって有利か不利かも判断するんだって。怖いよね。媚びを売るなら、ここでしょう。だって、ここに好き嫌いを決められてしまう。この扁桃体っていうのはお利口さんで、恐怖を感じると、危機を回避するための指令を出す。どんな指令か? 心臓の動きを速くして筋肉を活発にさせるって。そうすることによって体が「戦う」、もしくは「逃げる」という状況にしやすくさせるんですって。感心、人間。

 しかも恐怖を感じる対象が男と女では違うらしい。女性は、理解不能なことに恐怖を感じる。例えば、家の近所に直径一メートルくらいの真っ黒な穴を発見したとする。どんだけライトを照らしても奥が見えない真っ暗な穴。そこに足を踏み入れる前から恐怖を多く感じるのは女性。殺人者がいる? 毒蛇がいる? 二度と這い上がれなくなる?

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名刺ゲーム

鈴木おさむ

家族も部下も切り捨て、人気クイズ番組のプロデューサーまで上り詰めた神田達也。ある夜、息子を人質にとられた神田は謎の男から「名刺ゲーム」への参加を命じられる。だがそれは、人間の本性を剥きだしにしていく《狂気のゲーム》だった――。WOWO...もっと読む

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