掃除での予防がもっとも手ごわいノロウイルス
2014(平成26)年1月、静岡県浜松市の小学校で、小学生ら1000人以上が嘔吐や下痢などを訴えるという集団食中毒が発生しました。感染源は、給食で提供されたパン。パンを製造した施設の女子トイレから同種のノロウイルスが検出されたことから、そのウイルスに感染したスタッフが検品する際に、パンにウイルスがうつったと考えられます。また、トイレ掃除の不備や消毒不足も大きな問題だったのです。
ノロウイルスは、主に冬場に流行しますが、年間を通して感染の危険があります。感染者の便や嘔吐物から広がるため、感染対策でもっとも重要な場所は、間違いなくトイレです。家庭でも、流行の時期が始まったら、また、もし家庭内で感染者が出てしまったときには、家族の中で感染が広がらないためにも、細心の注意をもってトイレ掃除に取り組む必要があります。
では具体的に、トイレの中からノロウイルスはどのように広がっていくのでしょうか?
ノロウイルスに感染した人がトイレで嘔吐をした場合は、まず第一に、便器の周囲に嘔吐物が跳ね飛びます。トイレの中は狭いため、壁に飛び散る可能性も忘れてはいけません。こうして便器の周囲に飛び散ったウイルスが乾燥し、ほかの人が用を足したり掃除をする際に、手や掃除用具を介してトイレの外に感染が広がっていきます。
トイレの水を流すときにも、実は注意が必要です。便器のフタを開けたまま水を流すと、目には見えなくても便器の外に水滴が跳ねています。
実際に、トイレの水を流したときに、どれくらいの水跳ねが発生するかを調べる実験をしてみました。
まず、便器の上にコピー用紙を乗せてトイレの水を流します。そして、そのコピー用紙の裏に、水の跳ねた跡がどれくらいあるかを確認するのです。結果、40〜50個ほどの水滴が飛び跳ねていることがわかりました(写真)。
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