消せないコンプレックスを持つ女へ
『イグアナの娘』萩尾望都
(小学館)初出1994
母娘の愛情 VS 母娘の憎悪
イグアナの顔をした母娘の間に生まれる「憎悪」から、自分との向き合い方を50ページで見事に描き切った短編漫画。#短編少女漫画 #文庫で出てます #少女漫画界の神様の作品!!! #菅野美穂主演でドラマ化 #短いのでさくっと読めます #ちょっと童話風味 #子ども目線でも親目線でも「親子って難しい」って一度でも思ったことある人はぜひ #ちょっと「深いな……」って思う作品を読みたいときにおすすめ
鏡がなければ、自分の顔を自分で見ることができない。
これ、ちょっと不思議に思いません? だって自分はいつも自分と一緒にいるでしょう。思考するときも自分と一緒にいるし、自分の手とか足とずーっと一緒にいて、それらを操作して生きているわけじゃないですか。
だけど、自分の顔は自分で見ることができない。自分の表情や顔がどんなふうになっているのかってすごく大事な気がするのに。
鏡やら自撮りやらで見ることはできますが、そこにうつるのは、基本的に「見られている」ことを意識しているときの顔でしかない。
だからこそ私たちは、他人に「あんたはこんな顔をしているよ」って言われたら、ああそうなのか、ってその言葉を信じてしまうんですよね。
誰もが他人から「こうだよ」って言われた言葉を手がかりに生きている。あるいは、自分で「自分はこんな顔をしてるんだ」って思い込んだら、そう思い込んだまま生きていくのかもしれません。
だって本当の顔なんて見えないから。自分は美しい(あるいは醜い)って一度思い込んだら、そうじゃない事実なんて忘れていい。
『イグアナの娘』という短編漫画は、この「あんたはこんな顔をしているよ」って言葉を最初にかけられる相手が「母」である……というところから物語が始まります。
母から生まれた人、いつか母になる人に読んでほしい一冊
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