質問に対して「浅い答え」しか返ってこない
最近、成績が伸び悩んでいる営業マンのあなた。
ある日、「伝説の営業マン」と呼ばれるTさんと話をするチャンスに恵まれました。あなたはここぞとばかりに、大先輩のアドバイスを求めます。
あなた「 そんなに契約を取ってこられるなんて、どんな秘訣があるんですか?」
Tさん 「いや、運がよかったんだよ」
あなた「ふむふむ」
Tさん 「あとはタイミングもあるかな」
あなた「なるほど」
Tさん 「ほんと、運とタイミングとしか言いようがないんだよね」
あなた「そういうものですか……」
それ以上は深く突っ込むこともできず、実のあるアドバイスは得られないまま、せっかくの会話は終わってしまいました。
「なるほど君」になっていませんか?
あなたが一生懸命に質問をしているのに、早々に「(営業の秘訣は)運とタイミング」だと、あっさり答えをまとめてきたTさん。
このように、相手が「答えをはしょってきた」場合、どんな理由が考えられるでしょうか?
ミもフタもないようですが、「答えをはしょられた」ときは、相手から「話を理解する能力がない」と判断されているふしがあります。
それは、次のようなシチュエーションを想像してみれば、理解できるのではないでしょうか。
人間ドックで「要精密検査」の判定を受けたあなた。不安を押し隠してレントゲンのフィルムを受け取り、大病院で精密検査を受けたところ、「影なんてないよ」とドクターのいぶかしげな顔……。
あろうことか、人間ドックの担当者が、他人のレントゲン写真を間違って渡していたのです。
あなたとしては、「おたくの情報管理はどうなってるんですか!」「ムダになった時間をどうしてくれるんですか!」などなど、人間ドックを受けたクリニックに言ってやりたいことが山ほどあります。
ところが、クレームの電話を入れたところ、応対したのは右も左もわからなそうな受付のおばさん。かよわい声で「申し訳ありません……」と繰り返します。
さて、あなたはクレームを逐一、このおばさんにぶつけるでしょうか?
案外あっさりと、「写真が間違ってたんですけど、早く正しいのを送ってもらえますか?」ですませてしまうのではないでしょうか。
それは「このおばさんに細かいことを言ってもわからないだろう」とあなたが判断したからです。
冒頭のシーンに戻れば、あなたもまた、大先輩のTさんから「細かいことを言ってもわからない」と思われていた可能性があります。
平たく言えば、バカだと思われていたということです。
「受け身モード」は、相手にバカにされる!
とはいえ、なぜあなたは大して親しくもないTさんから、いきなり「バカ認定」されてしまったのでしょうか。
考えられるのは、あなたの聞き方が「受け身」だったということです。
質問をする態度にも「積極的な態度」と「受け身の態度」があります。
「積極的な聞き方」とは、「話を聞き、理解したいという思いが溢れ出ている聞き方」のことです。
「受け身の聞き方」とは、「ただ聞いているだけ」の聞き方です。
積極的な聞き方とは、相づちやうなずきといったリアクションはもちろん、「私はあなたの話を理解していますよ」というこまめなフィードバックを挟み込んだ聞き方のこと。
具体的には、
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。