バブルに踊ったツケで
大量供給が発生
中でもオフィスビル市況を表す空室率が急上昇した。米不動産サービス大手のCBREによると、東京で好立地、築浅、大規模というスペックの高いハイグレードビルの空室率は、リーマンショック前に1%未満だったのが、12年には10%を超えるまでに悪化した。反比例するように、賃料相場は坪5万円をつけていたのが3万円以下にまで下落、まさに市場が“氷結”した格好だ。
市況悪化の背景には、需要の落ち込みだけではなく、オフィスビルの供給過剰があった。リーマンショック以前、国内外の不動産プレーヤーたちは1000億円単位の巨費を投じて東京都内の土地を買いまくり、不動産のミニバブルの様相を呈していた。07年6月に東京建物がJR中野駅前の警察大学校跡地3.5万平方メートルを1437億円で取得。同年の秋には、三菱地所が中心となって、東新宿の日本テレビゴルフガーデン跡地2.6万平方メートルを2300億円で取得した。
後に多額の評価損を計上することにもなったのだが、こうしてバブル期に仕込まれた大型用地が4~5年の歳月を経て開発され、11年から12年にかけて大量竣工することとなった。供給過剰が指摘された“オフィス2012年問題”の発生である(下図参照)。
12年の東京23区のオフィス供給面積は181万平方メートル。過去25年間の平均は、約100万平方メートルであるから、その1.8倍ほどである(森ビル調査)。
なお、前回のオフィス大量供給は、03年の216万平方メートル、さらにその前は1994年の183万平方メートルである。みずほ証券の石澤卓志・チーフ不動産アナリストは、「景気循環により用地の仕入れと供給で似たような現象が繰り返され、オフィスは9年サイクルで大量供給の波が来る」と解説する。
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