アイデア自体を「お題」とし、さらなるアイデアを量産
前回は「かけ合わせ」により企画のもとになるアイデアをつくる方法を、実例を交えて説明しました。ただ、そのようにして出てきたアイデアを、さらに広げ、もっと数を増やす方法があります。僕の企画づくりは、この方法なくして成立しません。
改めて言いますが、いいアイデアを手に入れる方法は、
アイデアをたくさん出して、その中からいいアイデアを選ぶ
というやり方です。
10個のアイデアがあれば10個中1位のアイデアは必ず存在しますし、100個あれば100個中1位のアイデアが手に入ります。
そこで、アイデアの数をどんどん増やすために、自分の考え方の癖から外れた発想を一気に開放します。その方法とは、「お題」×「ネタ」で出てきたアイデアに、もう一回、ランダムな言葉をかけ合わせて、さらに独創性を持った新しいアイデアを見つけ出そうというものです。
ランダムワードを使ったもう一回の「かけ合わせ」
具体的にどんな方法かというと、先ほどのようにして生み出したアイデアに、まったく規則性のない言葉をいろいろとかけ合わせ、アイデアを変化させていくというものです。
僕はこの方法を「アイデアしりとり」と名づけ、実際の仕事で使っています。
先に例をお見せしましょう。前回の記事で「ペンケース」のお題を考えたアイデアの中に、
「勉強すればするほどほめてくれるペンケース」
というものがありました。
今度は、このアイデア自体を「お題」にします。
そして、このお題にかけ合わせる言葉を、適当に「一人しりとり」で出していきます。
10ワードも出せばいいでしょう。
言葉は、本当に何でもよいので、頭に浮かんだままに出していきます。
リンゴ ⇒ ゴジラ ⇒ ラジオ ⇒ おなか ⇒ 怪談 ⇒ ダンゴムシ ⇒ 調べる ⇒ ルーレット ⇒とびばこ ⇒ 恋
ためしに「リンゴ」という言葉をかけ合わせてみます。
まずは、「〇〇」といえば「××」というように、これらのワードから連想できる要素を挙げていきます。
リンゴから連想できるイメージをいくつか挙げてみると、以下のようになります。
リンゴといえば?
・食べ物
・赤と青がある(赤リンゴ、青リンゴ)
・Apple(企業)
・弓矢で射貫く
・握りつぶす
次は、リンゴから連想で出てきたイメージと、お題となるアイデアの「勉強すればするほどほめてくれるペンケース」をかけ合わせていき、自由に新しいアイデアを連想していきます。
【お題】勉強すればするほどほめてくれるペンケース
×
【ネタ】リンゴ
食べ物 ⇒ 勉強するとおやつをくれるペンケース
赤と青がある ⇒ ほめたり叱ったりしてくれるペンケース
Apple(企業) ⇒ iPhoneをかざすとエールを送ってくれるペンケース
弓矢で射貫く ⇒ 答えが的中するとほめてくれるペンケース
握りつぶす ⇒ 疲れた時に握りつぶすと癒やしてくれるペンケース
こんな感じです。
先ほど、「欲しいと思う理由」を材料にしていただけでは思いつかなかった味付けが、アイデアに加えられていきます。
このようにしてランダムな要素から生まれてきたアイデアも、先に説明したように、ネタが持つ「欲しいと思う理由」だけをかけ合わせて生まれたアイデアと区別することなく、一緒にメモしてどんどん増やしていきます。
これがかけ合わせでアイデアを出す真骨頂なのです。
ランダムワードは、必ずしりとりで出さなければならないというわけではありませんが、意図せずに無作為にいろいろな言葉を選ぶ一つの方法としておすすめしています。
ランダムワードで思考の癖から抜け出す
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