プラパデーンは「バンコクの酸素タンク」
丸山ゴンザレス(以下、丸山) 僕と室橋さんだけだと、男の1人旅の話に傾きがちなので、西野さんには女性向けのタイのエンターテイメントについてお聞きしたいと思います。
西野風代(以下、西野) まずは、バンコクからそれほど離れていない場所に、意外な田舎があるという話をしようと思います。チャオプラヤ川を渡ったところに、プラパデーン地区っていう陸の孤島のようなところがあるんですよ。緑がうっそうと生い茂っていて、電車も通っていませんし、車もほとんど走っていない場所です。
丸山 吉幾三的世界観ですね。
西野 『タイ旅行最強ナビ』には、この地区のバーンナムプン水上マーケットについて書きました。タイでは水上マーケットが色々な場所にありますが、ここならバンコクから近いですし、意外な穴場だと思います。
丸山 室橋さんは行かれたことあります?
室橋裕和(以下、室橋) あります、あります。プラパデーンは「バンコクの酸素タンク」と呼ばれていて、空気がすごくいいんですよね。都心から目と鼻の先とは思えないようなのどかなところです。
西野 小さい船で行くコースもあるし、大きな船で渡るコースもあります。
丸山 どの町に行ってもそうですけど、船に乗ると旅している感が味わえますよね。町っていうのは水で区切られることが多いので、そこを越えるというのは、また違う文化に行くっていうことになる。旅をしていて「ちょっと物足りないな」と感じたときは、船に乗るコースを1つ入れるといいかもしれませんね。
西野 プラパデーンは、近年ではサイクリングコースとしても人気があるんですよ。レンタルバイクとか、レンタルサイクルもあるので、サイクリングも楽しむことができます。
丸山 ちょっと、油断できない道もあるんじゃないですか?
西野 そうですね。さすがに通れないような細い道もあります。
丸山 その前に、西野さんは自転車に乗れるんですか?
西野 乗れますけど……私はバイクで行きます。
丸山 そうなんですか(笑)。全然イメージがないです。
ソンクランを見たいならプラパデーンは穴場!
西野 ちょっと開けたところに行くと、うっそうとした森の背景にバンコクの高層ビルが見えて、私はそのコントラストがいいなと思っています。これはソンクランの写真ですね。最近、バンコクのソンクランは、外国人がたくさん見に来て大変なことになっているという噂ですけど、こちらはローカルな感じです。
室橋 プラパデーンって、タイ人というよりも、少数民族のモン族が住んでいるところなんですよね。だから、バンコクよりもソンクランが1週間ほど遅いんです。バンコクのソンクランの時期は、飛行機もホテルも取りづらいですけど、1週間ほどずらしてプラパデーンのソンクランに行くと、ゆったり回れるかもしれません。
西野 そうですね。バンコクだとなかなか見られないような山車(だし)もたくさん出ますよ。
丸山 バンコクだと、山車も洗練されていて、外国人にちょっと自慢したい感じのデザインになるじゃないですか。地方に行くと、デザイン的に素朴なやつが出てくるのも魅力ですよね。
西野 味があっていいんですよね。
丸山 俺が行って、山車を見てげらげら笑って写真撮ってたら、地元の人たちが「これやばいのかな?」って思っちゃって、来年からちょっと遠慮したデザインになるかもしれないですね。
西野 これはこれで残したいから、そういうことはしないでくださいね! プラパデーンは、基本的に日帰りで楽しめますが、宿もあります。私は、こじゃれたホテルみたいな宿に取材に行きました。
室橋 虫がいっぱい……。
西野 まあ……そういうデザインなんです。
丸山 タイ人アーティストがドヤ顔でデザインした感じが伝わってきますね。タイ人のアーティストの作品、昔は半笑いで見ていましたけど、最近は普通にいい作品が多くないですか?
西野 そうですね。洗練されてきていると思います。