お金のバカ格差

バブル時代の日本では「日本人は平等」と信じられていました。ところが90年代を境に日本にも様々な格差が存在することが目に見えるようになりました。国際経験豊富な元国連専門期間職員の @May_Roma (めいろま)さんは、新作書籍「バカ格差」で日本人を苦しめる格差について分析します。

日本人の多くは世界に広がっている格差の実態をよく理解していません。日本の中ばかりを見ているからです。以下は新作書籍「バカ格差」の抜粋ですが、日本人が理解していないお金の格差について考えてみましょう。

▼36億人分の富が62人の富豪に集中

イギリスの非営利団体であるオックスファムは、2016年に、世界の富豪上位62人が持つ資産が、世界の人口のうち経済的に恵まれない下位半分、なんと約36億人分の資産総額に等しいと発表しました。

上位62人は、5年前には388人だったので、短期間でより少数に富が集中したということです。2010~15年の間に富裕層の富は44%増大し、カナダのGDPに匹敵する金額になってしまいました。

マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツの純資産は推定792億ドルで、ベラルーシとスリランカのGDPを合わせた額より多く、メキシコの実業家カルロス・スリムの純資産は、レバノンとウルグアイのGDPを合わせたより多い771億ドルです。

一方で、同時期に下位50%の人々の資産は41%も減っています。

なぜここまで富裕層の富が爆発的に増えているのでしょうか。

これは情報通信技術の発達や交通の発達により、もともと資産を持っている人々がより多くの富を得られるようになったことに関係があります。

発展途上国も含め、多くの国では投資を呼び込むように規制が緩和され、金融投資が以前より自由になりました。また多くの批判にさらされているにもかかわらず、租税回避が可能なタックスヘイブンの仕組みは益々活用されるようになっています。

富裕層は、租税回避専門の税理士や弁護士を雇い、個人信託や海外にある会社を使って資産を守り、納税を回避しているのです。

ITの発達により、資産を移動したり投資をしたりすることが以前よりも容易になりました。以前は資産の再配分に熱心で、投資に対して保守的だった北欧の国々やドイツですら同様です。

富を持つ人はより豊かになる流れになっています。

▼富裕層から税金がとれない

富裕層から高い所得税や相続税を取って、それを貧困層の福祉に回したり、社会インフラの建設に使ったりする「富の再配分」は、80年代以後希薄になっています。

例えばアメリカは2017年9月に法人税を35%から20%に削減し、所得税法は三段階に改正。富裕層の所得税を減らす一方で、低所得者の所得税は10パーセントから12パーセントに引き上げたのです。

イギリスでは1980年代までは高額所得者の所得税は70%近かったのですが、現在は最高で45%です。

これは日本も同じで高額所得者の所得税はかなり低い数字になっています。

先進国では、富裕層や稼ぐ力のある人たちにどんどん稼いでもらい、仕事を作ってもらうことを期待しているため、政府は富裕層を優遇する税制にしているのです。また富裕層の税金を高くすると、富裕層や優秀な人が海外に出て行ってしまうと思われているので、かつてのように所得税を急激に上げることができません。

その代わりに低所得者には福祉で還元すると言っていますが、ここ数年の緊縮財政でどこもそれは縮小しています。

▼広がる格差

2000年以降、グローバル化が進んだことにより、企業はより高い利潤を求めて、付加価値の低い仕事、機械化できる仕事、工場で処理するような仕事を、賃金の安い国や街に仕事を移転してきました。

その結果、先進国に残ったのは戦略を作る仕事、営業やマーケティング、企画、品質管理などです。そしてそういった仕事に携わる、いわゆるナレッジワーカー(知識労働者)は、たくさんは必要ないため、中流ホワイトカラーの仕事も、労働者階級の仕事も減りました。

知的生産物を生み出す側の人たちは、世界展開することや新興国で作ったり売ったりがやりやすくなったので、ビジネス規模がより大きくなった結果、より多くの報酬を手にするようになりました。

このような動向を牽引するのは政府や秘密結社の陰謀ではありません。市場の力です。

市場とは、消費者と株式市場に投資する人たちのことも含みます。自然な流れなので、止めることはもはや不可能です。世界の人々の欲望がこの流れを作り出しているのです。

それはスーパーで1円でも安い魚の切り身を買いたい我々であり、100円ショップの品物の品質に文句を言う我々であり、牛丼500円セットの値上げに怒る我々です。

日本人はこのような世界的な格差拡大自体を自覚し、どうしたら自分の生活を守れるのか、資産を増やすことができるのか、富裕層をよく研究したほうがよろしいように思います。

格差が悪いと嘆いていても、自分の雇用は守られませんし、資産を増やすことはできません。評論家でいるのをやめ、主体的に行動を起こすときなのです。

ケイクス

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May_Roma

海外居住経験、職業経験をもとに、舌鋒鋭いツイートを飛ばしまくっているネット界のご意見番・May_Romaさん。ときに厳しい言葉遣いになりながらも彼女が語るのは、狭い日本にとじこもっているひとびとに対する応援エールばかり。日本でしか生き...もっと読む

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