美女入門

プロにメイクしてもらった日。化粧を落とす前にするべき2つのこと。

「美女入門」アンアン連載1000回を記念して、最新刊『美女は天下の回りもの』と、文庫『 美女千里を走る』が、絶賛発売中です! 「林真理子書店」ほか、全国書店で「特製プレイバック小冊子」も配布中。お見逃しなく。cakesでは、記念すべき第1話から、順次特別連載しています。マリコの名セリフの数々、たっぷりご堪能ください。第11話は、1997年12月26日号「遥かなり、メイク道」。

直近のエッセイを丸ごとお届け

美女入門Part16『美女は天下の回りもの』
文庫『美女千里を走る』も同時発売!

 さてプライベートな、メイクアップレッスンを受けた私は、使った化粧品の名前と番号を全部メモしていく。
 マックやロラックだと、うちの近くのデパートでも簡単に手に入るのであるが、問題はルミコである。ルミコといったって小柳ルミ子のことじゃない(誰も思ってないか)。ニューヨークで大人気の日本人メイクアップアーティスト、ルミコさんという人がつくった化粧品は発色がよく、今おしゃれなコを中心に大層流行っているのだ。

 私の知っている限り、このルミコが売られているのは池袋西武デパートである。私の住んでいる原宿からはとても遠い。
 まあ、それは行けば何とかなるとしても、このコーゲン堂というのはいったい何なんだろうか。超微粒子の白粉のパッケージの裏に名前が書いてあったが、聞いたことがない。

「ああ、これは麻布十番にあるお店なんですよ」

 と私にメイクをしてくれたA氏。

「僕も行ったことがないんだけど、探せばどっかにあるんじゃないのかなあ」

 麻布十番商店街の中の化粧品問屋なんて、いかにも業界っぽくていいではないか。私はきっとつきとめようと、住所を書きとめておいた。
 さてA氏にメイクしてもらった顔で、私はパーティーに出かけた。友人でもおしゃれでセンスある人は、

「わあー、今日はどうしたのォ、すっごくキレイ。ぐっとアカぬけたわよねえ」

 と誉めてくれる。が、オバさんコンサバファッションしか知らない友人は、

「何よ、それ。芸能人の真似してるみたい」

 などと言う。こんな感想しか持たず、スーツ着て宝石つけてるから、すぐにオバさん化の波はやってくるのだと私は心の中で思った。
 さて家に帰って化粧を落とす前に、やっておかなければいけないことが幾つかある。それはまず夫に顔を見せること。

「ねえ、ねえ、私ってキレイ?」

 と昔の口裂け女のようなことをつぶやきながら、顔を近づけていく。

「あー、キレイ、キレイ」

 テレビの画面を見たまま、全くこちらの方に顔を向けずに夫は言った。ふだんならここでカッとするところであるが、頼みごとがあるのであまり怒らないようにする。

「ねえ、悪いけどポラを何枚か撮ってくれない」

「何するんだよォ」

「眉の形と、リップのひき方を記録しておくんだから」

 前髪を両手で上げて、眉の形がよく見えるようにポラロイドを撮ってもらう。唇の形は写真ではよくわからないので、自分で絵を描いておく。鏡を見ながら一生懸命なぞった私の唇は厚くて大きい。昔はものすごいコンプレックスだったのであるが、時代の流れというものはありがたい。今のメイクは、この唇をさらに大きくはみ出すようにして描くのね。

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美女入門

林真理子

ついに1000回を迎えた、アンアン連載「美女入門」。1997年の第1回には、こんな一文があります。「キレイじゃなければ生きていたってつまらない。思えば私の人生は、キレイになりたい、男の人にモテたいという、この2つのことに集約されている...もっと読む

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コメント

rinorinopuffy ♡https://t.co/FdsR8YLbWr 1年以上前 replyretweetfavorite

moxcha 店舗ぐらい調べて行けばいいのにと思っちゃうけど、ネットがない頃はこの程度の非効率は普通だったんだよなあ。 1年以上前 replyretweetfavorite