私達はお金とどう付き合っていけばいいのだろうか
さて本書はこれまでお金について体系的に語ってきました。みなさんはもうお気づきかもしれませんが、今後はお金単体を稼ごうとするのではなく、その裏にある本質、つまるところ信用に着目し、時間主義経済、記帳主義経済、信用主義経済など様々な形で変化する経済社会を生き抜いてゆく必要があります。
ここからは、「お金」の周辺で通貨になりうる存在、時間や、信用、知識、ネットワークなどについて整理し、本書の最後にお金について身に付けたい習慣をご紹介します。
まずは21世紀の生き方の方程式について説明します。図をご覧ください。「信用」を中心に構成される21世紀の生き方の方程式は、健康を前提とした時間資源を、ネットワーク・知識・信用の形成へと振り分け、「コト(つながり・物語)」を中心とした財を形成し、創造(貢献)へとつなげることで形成されてゆきます。
もう少し説明しましょう。
まず資源として投入するものの中心は健康(余裕)です。健康が時間を生み、時間が知識と信用、ネットワークを作ります。それを通して、財ができ財を継続的に生み出すしくみ、すなわち事業が創造されます。事業は可視化されたエネルギーであるお金を生みます。お金は予防医学や先端医療、食材や良好な人間関係という形で健康の資源となります。健康はミッション/パッションを生み、それは継続的な価値を産み出す仕組みである事業の源泉です。
私達の投資や意識の中心はまず健康に向かうことになります。健康についてはこれまで医学部に行くかTV番組かという極端な二者択一しかありませんでしたが、普通の人が健康への正しい知識を持つ機会がもっと増えてくるはずです。
お金について意識するべき10の習慣
さて最後になりました。
お金についての10の習慣を述べて本書を締めくくりたいと思います。
1、購買意思決定の「1,2,3ルール」を意識しよう。
「1」は、一度に買うのはたった一つであり、「2」は、購入判断は1回目でせず2回目以降にして、冷静に考察する時間を作る、「3」は、3つ以上のものを「比較」せよ、というルールです。この「1,2,3ルール」を遵守するとまず無駄な出費が減ります。
2、Don’t make money, Create Credit(カネを稼ぐより、信用を創る。)
お金とは、信用を数値化したものに過ぎない。お金を稼ぐことでなく、信用を創ることに注力しましょう。
3、お金にうまく色をつけよう。
お金自身はニュートラルな存在であり、お金に色をつけるのは常に人間です。みなさんはお金について親や親戚から、または学校でいろいろなことを教えられ、価値観を植え付けられてきたかもしれません。まずはそれを忘れましょう。お金はニュートラルなエネルギーにすぎません。お金についての先入観を捨て、うまく色をつけましょう。
4、お金以外のコミュニケーションツールを使おう。
お金は便利な道具です。しかし同じ道具ばかり使っていると心身のバランスも社会的なバランスも取れなくなってしまいます。お金以外のコミュニケーションツール、つまり言語・共感/想いやり・価値観を使いましょう。
5、お金をうまく流せるようにしよう。
お金の流れに気を配り、ペイフォワード(社会・将来へお金を渡すこと)をしましょう。お金は稼ぐは才覚、使うは品格と言います。お金を使うのは難しいものです。大きなお金を使うには構想力と行動力、その前提となる好奇心の三つが必要となります。また、いくらお金を使っても他人はある程度までしか動かせません。最後はその人の品性によります。
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。