いつからデヴィ夫人に慣れましたか?

日本からインドネシアに渡りスカルノ元大統領第三夫人となったものの、クーデターにより軟禁状態になり、フランスに亡命。そんな波乱万丈な人生を送ってきたにも関わらず、日本で毒舌タレントとして活躍しているデヴィ夫人。さてこの人は「本物」なのでしょうか。武田砂鉄さんが考察します。

叶姉妹とカラスのレゾン・デートル

地元の大きな図書館の地下には書庫があり、書庫から取り寄せてもらうことも多い。ピックアップの完了した本を貸し出しカウンターまで取りにいくのだが、職員によっては、わざわざ書籍タイトルを口に出し、パソコン画面と照合する人がいる。だから昨日、自分は「えーっと、『デヴィの「ここまで言ってよろしいかしら」』でよろしいですか?」と言われてしまったわけである。職員は、よろしいかしらでよろしいですか、と言った後に、その自分のリフレインに気づいたようで少々微笑んでいる。じっと堪えているようだったので、すかさず「これも借ります」と、書棚からピックアップしておいた『デヴィ・スカルノ回想記 栄光、無念、悔恨』を差し出すと、いよいよ歯を出して笑ったので、「勝った!」と思ったのだが、私は何に勝ったのだろうか。

せっかく書庫から取り寄せてもらったのだから、『デヴィの「ここまで言ってよろしいかしら」』(タイトルが長いので以降は『ここよろ』と略す)を通読すると、突如として叶姉妹への口撃が始まり、なぜかいきなりカラスの話に広がり、「カラスのレゾン・デートル(存在意義)が私にはわからないのです」と言い切った流れで「〝叶姉妹〟と、このカラスが、ダブって見えてしまいますの」と言い切る。中村江里子を、カンヌ映画祭に「カボチャのお化けみたいな姿でお出ましになったのが女子アナカン違いの先駆け」と糾弾、着ていたスキーウェアに対して「1950年代のものだ」と指摘したピーコの発言に苛立ち、「4年前に買った」と断じた。『ここよろ』では、このように、〝本物志向〟の人に「あなた達は本物を知らないわね?」と挑発し続けている。

「もろもろ、本物なのだろうか?」
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ワダアキ考 〜テレビの中のわだかまり〜

武田砂鉄

365日四六時中休むことなく流れ続けているテレビ。あまりにも日常に入り込みすぎて、さも当たり前のようになってしったテレビの世界。でも、ふとした瞬間に感じる違和感、「これって本当に当たり前なんだっけ?」。その違和感を問いただすのが今回ス...もっと読む

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elba_isola |武田砂鉄 @takedasatetsu |ワダアキ考 〜テレビの中のわだかまり〜 いつも、なんでこの人はテレビに出るんだろうって思ってる人の一人。まさにレゾンデートルが問われてる。 https://t.co/u4KM6OKIV8 8ヶ月前 replyretweetfavorite

yosshiko 納得いかない感あってもイッテQ,とかで体張られて帳消しにされちゃうんだよなぁ。 8ヶ月前 replyretweetfavorite

maguhekikai しょうがない枠っていうか、ガイジン枠なんじゃないかな?この人ガイジンだからって理解の外に置いてるだけ。> 8ヶ月前 replyretweetfavorite

pinkcrocs やはり武田砂鉄氏は信用に足る。というか、この記事が大好きだ!https://t.co/5TqzCo660K 8ヶ月前 replyretweetfavorite