もう始まっているかもしれない!? 第三次世界大戦を止めるため、僕たちにできること

現役官僚の滞英日記』の発売を記念した特別連載、今回で最終回となりました。対立し、報復の連鎖が続いているイスラム国と欧米。テロ行使がエスカレートする現在、もしかしたら私たちは始まりも終わりもはっきりしない、第三次世界大戦の最中にいるのかもしれません。橘さんの考える、戦争を止めるために私たちができることとはーー?
※この記事の内容は2015年3月当時のものです。

報復の連鎖—私たちはもう第三次世界大戦のなかにいるのかもしれない

 イスラム国と欧米の間で、「報復の連鎖」が途切れることなく続いてしまっています。あるロンドンの有識者は「もはやどちらが良い悪いの問題ではない。この連鎖のせいで、特に、2015年1月7日の風刺画事件以降(「シャルリー・エブド」の絵師が襲撃を受けて殺害された事件)は、欧米の雰囲気は〝対テロ戦争〟から〝対ムスリム戦争〟になってしまっている」と評していました。そして、「大勢の参加した反テロのデモも、表現の自由のためのデモと、半ば同一視されて、全体として反イスラム・デモの様相を呈してしまっている」と言います。

 ムスリム側も、ムスリム関係機関が「イスラム教はテロを認めていない」という声明をいくら出しても、かき消されてしまっている印象です。この雰囲気を懸念したからこそ、オバマ大統領も、2月18日に自ら主催した対テロ・サミットで「(我々の戦いは)対テロ戦争であって、対イスラムの宗教戦争ではない」と、あえて強調したのだと思われます。

 結果として、過激派ではない一般のイスラム教徒までもが、迫害される危険を感じて、反発感情を強めてしまってきているようです。不安と反発が呼び合って、誰もがいかにもそうなりそうだと懸念し、また、誰もがそうなってはいけないと願う、明らかに愚かな二項対立に事態が収斂していこうとしています。

 そして、あるシンポジウムの合間の立ち話で、ある紳士が「過去の世界大戦は、通常兵器による正規軍同士の戦闘が主で、開戦日も終戦日もはっきりしていた。しかし現代の戦争は、生物兵器も含め、一方的で無差別なテロ行為が攻撃手段である。テロ集団が民間人に対して一方的に武力行使する。日常生活全体が戦場になる。報復の連鎖が続いてエスカレートしていくなかで、いつの間にか戦争状態に陥っていることになるから、開戦日も終戦日もはっきりしない。我々はもしかしたら、もうすでに第三次世界大戦のなかにいるのかもしれない」と話していたことが強く印象に残っています。

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現役官僚の滞英日記──EU離脱にも揺るがない、英国エリートたちの生存戦略

橘 宏樹

欧州最古の名門総合大学「オックスフォード」、英語圏最高峰の社会科学研究機関「LSE」の両校に留学した若手官僚が英国社会のエートスをリアルタイムに分析。大英帝国が没落してなお、国際的地位と持続的成長を保ち続けるイギリスに “課題先進国"...もっと読む

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コメント

consaba 橘宏樹 報復の連鎖ーー 2年以上前 replyretweetfavorite

PLANETS_9 『#現役官僚の滞英日記』cakes連載の最終回が公開になりました。テロ行使がエスカレートするなか、私たちはすでに第三次世界大戦の最中にいるのかもしれない。橘さんの考える、戦争を止めるために私たちができることとはーー? https://t.co/jkkteBTET2 2年以上前 replyretweetfavorite