ロンドンは東京にそっくり? 東京にも取り入れられる「ナッジ」の視点

現役官僚の滞英日記』の刊行を記念した特別連載、今回は「街づくり」と「ナッジ」がテーマです。ロンドンに住み始めた橘さんは、ロンドンとかつて住んでいた墨田区がそっくりなことに気がつきました。イギリスと東京の共通点や違いを見ながら、東京にも取り入れられるかもしれない「ナッジ」の視点について考えます。

ロンドンの都市構造と保守党政権の「ナッジ」的施策

 ロンドンに来て半年が過ぎました。最近、小さなことなのですが、今住んでいるところと東京で住んでいたところが非常にそっくりであることに気がつきました。ロンドンの真ん中にはテムズ川が東西に曲がりくねりながら流れているのですが、僕は今、このテムズ川を渡って南の岸のすぐそばに住んでいます。市役所やthe Shardという地上306メートルのランドマーク的な高層ビルの近くで、川を渡って少し歩くとセント・ポール寺院という非常に有名な大聖堂があります。川に沿って西に1時間ほど歩けば、国会議事堂や官庁街にたどり着きます。

 僕は東京で暮らしていたとき、東京スカイツリーや墨田区役所のすぐそばに住んでいました。川を渡って少し歩くと浅草寺があり、隅田川に沿って江戸通りを南下していくと霞が関に至ります。だいぶ似たような位置関係の場所に住んでいると思いませんか?

 このことに気がついたのは、電車がテムズ川に架かる橋の上を渡っていくのを眺めていたときでした。その景色が、東武伊勢崎線がスピードを落としながら浅草駅に入っていく隅田川の景色によく似ているなと思ったのです。そしてテムズ川の北側は荘重な建物の並ぶ旧市街やガラス張りの高層ビルが並ぶ金融街がある一方で、南側は移民が多く住み、雑然とした古いマーケットが賑わういわゆる「下町」になっていて、これもちょうど隅田川の東西と似た感じなのです。

 では逆に、都市としてのロンドンと東京では何が違い、どちらが「進んで」いるのでしょうか。もしロンドンが進んでいるとしたら、東京にも取り入れられそうなものはあるでしょうか。以下、交通や道路といったハード面の違いについて、気がついたことを書いてみたいと思います。

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現役官僚の滞英日記──EU離脱にも揺るがない、英国エリートたちの生存戦略

橘 宏樹

欧州最古の名門総合大学「オックスフォード」、英語圏最高峰の社会科学研究機関「LSE」の両校に留学した若手官僚が英国社会のエートスをリアルタイムに分析。大英帝国が没落してなお、国際的地位と持続的成長を保ち続けるイギリスに “課題先進国"...もっと読む

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コメント

ikb ひじでそっと押すような、そういうしぐさによる誘導をナッジという。らしい。 3年弱前 replyretweetfavorite