A.D.2012
千葉市にある幕張メッセ国際展示場では、「ロボットテクノロジー展2012」が開催されていた。国内外のロボットメーカーの、最新の技術を披露する展示会である。三日間の会期のうち、初日の今日はマスコミと業界関係者のみの入場だった。人気のブースは人でごった返し、ここ数年のロボット技術の著しい進歩と、注目度の高さを表している。
会場の最南端、第8ホールのメインステージでは、一般公開に先んじての招待客向けデモンストレーションが進行していた。客席はロボットの研究開発に携わる技術者とマスコミでほぼ埋まっている。入りきれなかった観客が、通路にも溢れた。
平田は、袖の陰からステージを覗いてみた。ちょうど大手自動車メーカーの開発したロボットが、ダンスをしながら階段を駆け上がっているところだった。
SFの巨匠をもじった名前のそのロボットは、客席に向かって手を振りながら、段差をものともせずにマイケルばりのステップを踏んだ。軽快でなめらかな動きは、中に人が入っているのではないかと思うほどである。客席からは、盛んに拍手が起きた。
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