やらない理由

褒められるのは嬉しいが、褒めるのは嫌【No.36】

今回のテーマは「褒められたい」ジレンマ。自分のために、誰かのために、日々めちゃくちゃ頑張っている人ほど「お願いだから一度くらい褒めてよ」と感じることが多いのではないでしょうか。それも誰でもいいから褒められたいのではなくて、自分を褒めるべき人を決めていることが多いですよね。ただ、逆に自分が誰かを褒めているかというと、それは別問題。そんなジレンマを抱えた時の処世術をカレー沢薫氏が教えてくださいました。

「褒められるのは嬉しいが、褒めるのは嫌」
昨今、SNSで行われている「自撮りだらけのイイネ取り合戦、グロ画像もあるよ!」を見てわかる通り、我々人間は、どれだけ自己肯定があろうと、他人から認められないとキツい、ということが判明してしまった。

この「承認欲求」は、数いる生物の中でも人間が群を抜いて強く持っていることは想像に難くない。だがそれに反比例するように「人間は褒められのハードルが高い」のだ。

例えば、世の中には、おキャット様のように「存在するだけで偉い」生き物がいる。そういう生き物は、その一挙一動が全肯定され、仮に悪事を働いたとしても「おキャット様なら仕方がない」と、最低でも「許容」または「そういうところがまた雅」「風流」「いと」「をかし」とさらなる賛辞を受けることができるのだ。

それに比べて人間ときたら、生きているだけではまず褒められない。むしろ存在するだけならいない方がまし、とまで思われている可能性が高い。五体満足であるなら、勉学に励み、働き、税金を納めて、初めて存在してよい。さらには家庭を持ち、子孫を残し、さらに税金を納めるところまで育てない奴は何やってもダメ、という圧力すら感じる。

昨今ではなかなかハードルが高いことである。ではそれをやってのけている人が、痺れられたり憧れられているかというと「当たり前」「みんなやっている」というクソリプを食らっている有様である。出来ている者でさえそれなので、できていない者は、リアルクソを投げつけられてもおかしくない。

生きてるだけで丸儲け、ではない「生きてるだけでは怒られる」のだ。しかし、そんな殺伐とした世界では、人々の革ジャンの肩パッドが尖る一方だ。よって、我々は、互助の精神でこのデスロードを乗り切っているのである。

具体的に言うと「どうでもいいことでも褒めあう」ことだ。大してかわいくなくても「丸い」「色がついている」と言うだけで「かわいい~」と言うのだ、そうすれば言われた相手も、何かしらこちらの、丸かったり色がついているものを見つけて「そっちこそかわいい~」と言うのである。

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やらない理由

カレー沢薫
マガジンハウス
2017-11-30

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カレー沢薫

「エッチはしたいが、付き合うのは嫌」。多かれ少なかれ誰もが抱える他人には打ち明けづらい虫のいい話。OL兼漫画家・コラムニストのカレー沢薫さんが挫折と諦めを肯定、それが正しいことだと示す当コラムで、スカッと爽快なメンタルヘルスを目指しま...もっと読む

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コメント

maguhekikai 世の中、そんなに 2年弱前 replyretweetfavorite

rosia29  俺は当然褒めるのも褒められるのも苦手だ…だけどそれはお前のことを心から認めているから… 2年弱前 replyretweetfavorite

hirame_hidari 薄い本の感想言う言わない問題が非常に小さく見えてくるユニバース級コラムだ 2年弱前 replyretweetfavorite

horobeyo2415 全人類が読むべきコラムの時間だオラァ!人間に関しては褒めてもめんどくせえからおキャット様を褒める、いや讃えるのは当然の摂理だよな 2年弱前 replyretweetfavorite