演出家・指導者としての玉三郎

歌舞伎の〈いま〉を知る!
市川海老蔵をとりまく舞台模様を中心に、見るべき役者、人間関係、注目の演目などを解説する歌舞伎読本『海老蔵を見る、歌舞伎を見る』(中川右介・著)。
本書の刊行を記念し、稀代の女形・坂東玉三郎のユニークなポジションを解説したパート「玉三郎スクール」を特別公開します。第3回は、2015年の玉三郎スクールについて。

演出家、玉三郎

2015年、新しい歌舞伎座も3年目となり、1年間の流れも、第4期歌舞伎座時代にほぼ戻った。

1月はかつての吉右衛門劇団の座組を踏襲し、幸四郎、吉右衛門が中心である。ただ、ふたりだけでは客は呼べないので、この年は玉三郎が加わった。

さらに勘九郎・七之助も出て、まず昼の部最初の『金閣寺』で染五郎の松永大膳に、七之助が雪姫、勘九郎が此下東吉をつとめた。七之助にとっては大役だった。続いて、舞踊の『蜘蛛の拍子舞』に玉三郎、勘九郎、七之助、染五郎が揃い、夜の部では玉三郎の『女暫』があり、七之助が女鯰若菜をつとめた。

2月から4月は、芸術監督を務める佐渡の音楽集団「鼓童」の振付・演出の仕事をし、3月は新しい出会いのストリート・ダンサー集団DAZZLEの、赤坂ACTシアター公演『バラーレ』の演出にもあたっていた。まだまだ、新しい独自の世界を切り開いている。

5月には大阪松竹座で鼓童との『アマテラス』に出演し、7月に半年ぶりに歌舞伎座へ帰ってきた。

この年の7月も海老蔵と玉三郎が中心の座組となり、そこに猿之助、中車、右近をはじめとする澤瀉屋、海老蔵と親しい獅童が出て、梅玉、魁春、芝雀(現・雀右衛門)、左團次、門之助らが加わる大一座となった。玉三郎は昼の部は『与話情浮名』で海老蔵の与三郎で、お富をつとめ、夜の部は『怪談牡丹燈籠』を、中車を相手役の伴蔵に抜擢してお峰をつとめた。『牡丹燈籠』では演出としても関わった。

玉三郎の歌舞伎演出家としての活動が本格化したのである。

様々な継承のかたち

玉三郎が女形の藝を伝える相手としては七之助や菊之助、尾上右近、梅枝、児太郎などがいるが、自分の藝を伝えるのとは別に、中車や獅童を鍛えることもしている。

7月の歌舞伎座に出るのは、いまのところこれが最後となり、海老蔵とも、以後は共演していない。海老蔵は玉三郎スクールを卒業したようだ。

9月の歌舞伎座は吉右衛門が座頭の秀山祭である。玉三郎が出るのは珍しい。

昼の部には出ず夜の部だけで、『伽羅先代萩』の、第五期歌舞伎座として初の通し上演となり、もちろん玉三郎は政岡をつとめた。沖の井に菊之助を配し、さらに小槙に児太郎を当てたのは、このふたりに何かを伝えるためであろう。

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この連載について

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海老蔵を見る、歌舞伎を見る 特別編「玉三郎スクールとは何か」

中川右介

歌舞伎の〈いま〉を知る! 市川海老蔵をとりまく舞台模様を中心に、見るべき役者、人間関係、注目の演目などを解説する歌舞伎読本『海老蔵を見る、歌舞伎を見る』(中川右介・著)。本書の刊行を記念し、稀代の女形・坂東玉三郎のユニークなポジション...もっと読む

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コメント

suerene1 そうなんだよね、「鼓動」は玉三郎と一緒にやっているから、よけいにまた聞きに行きたいのだけど、今度のミュンヘン公演も高いのだよねぇ。。。→  https://t.co/c9lfXgohrx 5ヶ月前 replyretweetfavorite

suerene1 そうなんだよね、「鼓動」は玉三郎と一緒にやっているから、よけいまた危機に行きたいのだけど、今度のミュンヘン公演も高いのだよねぇ。。。→  https://t.co/c9lfXgohrx 5ヶ月前 replyretweetfavorite