美女入門

ダイエットに失敗するのは、私のせいじゃなくて、類友のせい。

「美女入門」アンアン連載1000回を記念して、シリーズの第1回から特別連載。時間が経ってもまったく色褪せない、マリコの名セリフの数々。たっぷりご堪能ください。第2話は、1997年10月24日号「ブルーの皿の思い出」。最新刊『美女は天下の回りもの』と、文庫『美女千里を走る』を2/8同時刊行! 発売中のアンアンの「林真理子特集」もお見逃しなく。

 私の家の居間の片隅には、ダンベルとか、ダイエットベルトといった、私の過去の戦いの残骸が置かれている。これについて、皆さん見て見ないふりをしてくれているのであるが、あのブルーのお皿だけは質問が飛ぶ。

「あれ、買おうと思ってるんですが、本当に効きますかねえ……」

 何度尋ねられたことであろうか。このブルーの皿というのは、詳しい名称は省くが、腹筋の時に腰にあてるやつである。

「これだと腰も痛めず、最高ですね。ラクラク腹筋が出来ます」

 と外国人が宣伝している、通販で買う健康商品だ。けれどもこのお皿はまことに安定が悪く、腰がふらふらしてしまう。
 そんなわけで私は腹筋運動をただちにやめ、そのお皿はうちの居間の片隅にガラクタのひとつとして置かれることになった。

「あんたはね、一応努力はするんだけど、いつも三合めで終ってしまうんだよね」

 とテツオが言う。

「一生に一度ぐらい頂上までいってみろ」

 正しい指摘である。

 私は日頃の生活態度、そして精神の持ちようを大いに反省した。しかし最後に、責任を他人になすりつけるのは私の常である。

「私って友だちがいけないんじゃないだろうか」

 類は友を呼ぶ、と言うが、私は美容に関してうんと努力したり克己心の強い女性が苦手である。二人でダイエットを誓い合っても、

「ま、いいか」

 というひと言で、一緒に焼き肉を食べに行ったりする友人ばかりだ。

みんな結構仕事では根性がある女ばかりなのであるが、元が元(失礼)なので、美しさということに関しては実に甘い。自分にも甘いが、他人にもすごく甘い。いや、甘いというよりも他人が成功するのは許せない。絶対に蹴落としてやろうと考えるようだ。

「デザートやめとくわ」

「ダメよ、絶対にここのケーキは食べなきゃ」

「ダイエットしてるんだもん」

「明日からすれば。ねえそうしなさいよ。今日はおいしいものいっぱい食べて、明日からはうんと頑張るのよ」

 こういう友人と一日おきに会っていれば、どうして私に「明日」が訪れようか。

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美女入門

林真理子

ついに1000回を迎えた、アンアン連載「美女入門」。1997年の第1回には、こんな一文があります。「キレイじゃなければ生きていたってつまらない。思えば私の人生は、キレイになりたい、男の人にモテたいという、この2つのことに集約されている...もっと読む

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yurikomorio 林真理子先生と山咲千里さまのツーショットが見られる日も近いかも!?私、お二人とも大好きなんです💕 https://t.co/nyEvxZM1EI 2年弱前 replyretweetfavorite