間違った掃除が感染症を広げる
毎年、秋から冬にかけて、ノロウイルスによる感染性胃腸炎やインフルエンザが流行するたび、テレビのニュースで、保育園の保育士さんや介護施設のヘルパーさんがテーブルや手すりを往復で消毒拭きしているシーンをよく目にします。毎度のことですが、私はこの映像を見ながら「違う、違う」と、ついつい声に出してしまうのです。
何が違うのかというと、「拭き方」です。
消毒を目的とした場合、クロスは 「一方向拭き」にするのが基本のキです。クロスを車のワイパーのように往復拭きすると、クロスの端の部分に付着した細菌やウイルスを、テーブルや手すりに置き去りにしてしまうだけでなく、いったんクロスに付着した細菌やウイルスを、掃除した場所に再付着させることにもなりかねません。
一見些細なことのようにも思えますが、感染症対策は、正しい掃除をコツコツと積み重ねていくことがとても大切です。
また、感染を未然に防ぐ方法についても、よく勘違いされているのですが、すべてのウイルスがアルコールで死滅するわけではありません。実は、ウイルスの種類によって、アルコール殺菌できるものと、できないものがあるのです。
インフルエンザや風疹をはじめとした多くのウイルスは、「エンベロープ」という脂質の膜で覆われています。一方、ノロウイルスやロタウイルスといった、エンベロープを持たないタイプも少数ながら存在します。
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。