漫画『賭博黙示録 カイジ』とは?
自堕落な日々を過ごす主人公、伊藤開司(いとう・かいじ)。そのカイジが多額の借金を抱えたことをきっかけに「帝愛グループ」をはじめとする黒幕との戦いに挑んでいく大人気漫画。命がけのギャンブルを通じて、勝負師としての才能を発揮するカイジだが、その運命は果たして・・・。(作者:福本伸行 講談社『週刊ヤングマガジン』で1996年11月号~1999年36号まで連載された作品)
『カイジ』をはじめて読んだとき、この作品はお金についてのとても大事なこと、とりわけ、現代を生きる私たちが特に知っておかなければいけない「マネー・リテラシー」について語っていると感じました。
カイジは、本当にダメな男です。金額も契約内容も知らないでバイトの後輩の連帯保証人になり、借金地獄に陥りました。帝愛グループの罠から命からがら生還したのに、地道に働くことよりもギャンブルで稼ぐ道を選びました。そして、お金のありがたみを知ったはずなのに、次の日に全額パチンコですりました。
普通では考えられないほどのダメっぷりを発揮しているカイジをみて、みなさんは、「これはマンガの中の話だ」「カイジはバカだ」「こんなクズと俺は違う」・・・そんな風に思っているのではないでしょうか。
でも、私は、カイジに起こったことが決してマンガの世界の話ではなく、現実に起こっていること、また誰にでも起こりうることだということを知っています。数年前に社会的問題となった、消費者金融の取り立ては「まさに」です。
クレジットカードを使いすぎ、そのショッピングローンを返済するためにキャッシングをし、そのキャッシングを返済するために消費者金融に手を出す若者が後を絶ちません。その結果、驚くべき数の人が多重債務に陥っています。
帝愛グループが仕組んだような罠は、マンガの中だけの話ではありません。あなたの身近にも、忍び寄っているものなのです。
お金で幸せになれるか?
学生のころにマルクスの『資本論』と『金持ち父さん 貧乏父さん』(ロバート・キヨサキ著)を読んで衝撃を受けて以来、私は経済学を独自に学んできました。
それは、経済を知ることでよりよい生き方を選択できるようになると思っているからです。そしてこれまでに経済に関する書籍を30冊以上書いてきました。また経済や投資に関する講演をさせていただく機会も多いです。
私が経済について話をすると、「お金では幸せにはなれない」とか「お金よりも大事なものがある」という意見をいただきます。
この意見に関しては、私も基本的には賛成です。
でも、だからといって「お金についての知識を持たなくてもいい」ということにはなりません(さらに言うと、本来、経済学はお金を稼ぐための学問でもありません)。
そもそも、日本の学校教育で「お金」についてあまり教えないのはなぜなのでしょうか。お金について話すと、「恥ずかしい」とか「ケチくさい」とか、日本人はそういうイメージを強く持っているようです。
しかし、そうした考え方は、日本の若い世代に明らかな弊害をもたらしはじめています。
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