21世紀型ビジネスを考えてみよう

モノをお金でやり取りする“資本主義”から
コトを時間でやり取りする“時間主義”
モノを信用で直接やり取りする“記帳主義”
最後にコトを信用でやり取りする“信用主義”へ ー。
今、お金を中心に大きな転換が起こっています。
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 さて、21世紀型の新しいビジネスはどのようなものが考えられるでしょうか?

 これまで述べたことをふまえると、21世紀型の承認欲求・所属欲求を満たすビジネスは何があるでしょうか? なかでも、多様化(ダイバーシファイド)、個別化(パーソナライズ)、自己肯定化(セルフ・エスティーム)を満たす方法について考えてみてください。

 例えば、ペットロボット、AIボット(映画「her」)などを使って人々の孤独を埋めたり、「VICE」のような特定の層を狙ったメディア作りや、LGBTなどマイノリティをターゲットとしたビジネスを通して、個人の自由な生き方を肯定する、地方創生を成果報酬型ビジネスにしたり、Tinder を通した新しい出会いや自動翻訳サービスを通した新しいスムーズなコミュニケーションを元に新しいコミュニティとそのインフラを創るビジネスなどは考えられないでしょうか。

 ハロウィン・コスプレマーケットの拡張、YouTuber の台頭、読者モデルなどを通した芸能人の概念の崩壊、創作物がダイレクトに世界中の消費者に届く仕組みなどを通して、表現欲求・自尊欲求をさらに拡大しています。20世紀のようにドンペリを購入したり、高級車に乗る形で誇示するのでなく、それらモノを省いて直接、換金できる方法を通して中間財(モノ)を省けないだろうか? などたくさん考えられると思います。

 すべてのキーワードはモノからコトへ。人々が求めているのは生きるための機能ではなく、つながりや物語だということです。

 タテからヨコへ—究極のネットワーク社会の到来

 これまで国家、技術、経済の観点から変化を捉えてきました。最後は、社会の仕組みです。ここでのキーワードはタテからヨコです。それまでの国家が発行した貨幣を使う時代は完全なタテ社会でした。匿名のエネルギー(金)を使って現実社会をコントロールできる者が勝者でした。これからはもっと濃いネットワークの中で、それぞれの個人の信用が担保され、やり取りをする世界です。このヨコ社会では、広大なネットワークの海を自らのつながりと信用を使って自由に泳げる者が勝者となります。覇権はシフトし、両者の力関係が逆転するのは2020年頃だと思われます。

 社会はタテからヨコへと変化している

 これまで作り上げてきた世界・システムを維持・運営する組織・人をマジョリティと言い、そこからあぶれているが、新しい仕組みを創りだそうとする層をマイノリティと言います。両者の価値に差はありませんが、現在、戦後のシステムが出来て70年経ち、マジョリティシステムが崩れようとしていることは事実です。なぜなら、その比率が逆転しようとしているからです。

 日本のマジョリティ層は正規雇用労働者や従業員1000人以上の会社での勤務、専門職、公務員およびその家族であり、マイノリティ層はニート(60万人、疾病ニート、コミュニケーション障害ニート、高学歴ニート等)、若年派遣労働者、LGBT(15人に1人)、シングルマザー(70万人)、独居老人(100万人)、年収200万円以下(1000万人)の人たちです。その比率は今や、マジョリティ6、マイノリティ4ぐらいにまでなっているのです。

 ひと昔前は、80〜90%がマジョリティでした。でも今は、車椅子の人は7%ですし、働いていないニートの比率も中年を中心に急激に高まっていました。高いですよね。LGBTも実際には、50種類くらいあります。つまり性的な指向も多様化しています。

 しかし、一般化したとはいえまだ社会の中で偏見や差別に苦しんでいる人も多くいます。

 大きな変化は感じられないかもしれませんが、マイノリティとマジョリティが逆転するというのは、社会構造が変化するという点で重大な変化です。

「タテ」のマジョリティ、「ヨコ」のマイノリティ

 マジョリティとマイノリティの違いは、構造に現れています。

 すでに出来上がったマジョリティのシステムは基本的に「タテ」。それに対し、円心をくりぬかれた周辺部に位置するマイノリティは「ヨコ」でつながるようになります。

 マジョリティとは、中心にいてタテのラインが強固であり、マイノリティは周辺にいるのです。真ん中が空洞で、タテのラインを作りようがないのでしかたなくネットワークを作り出します。これが一番大きな違いです。

 マジョリティの基本的な発想は、資源を吸い上げて、上からシャワーのように降らすことです。



 これは出来上がったシステムなのであたりまえです。

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