社内恋愛をしていた元カノとの遭遇

結婚を意識しはじめた二人の間に、立ちはだかるいくつかの壁。百鳥ユウカさんのパートナーである池崎学の過去は、2人の関係にどんな影響をもたらすのでしょうか。

池崎学は4つ年上の姉がいる。

池崎が2つのときに両親は離婚し、それから池崎の母は、6つの姉と2つの池崎を女手一つで育てあげた。離婚の理由を子どもたちは知らされていないが、池崎も姉も、うすうす父の女関係だとは感じていた。最低限の養育費はもらっているようだが、それだけだ。

姉は24歳で同じ会社に務めるバツ2の男と結婚するも、半年で離婚。それ以来、ずっと滋賀の実家に居座っている。母の実家は旧家で、敷地は広く部屋数もやたらと多かった。3人で住むには広すぎたが、母と姉は昔からウマが合わなかったから、むしろ広い家は好都合だった。実家が1LDKのアパートかなんかだったら、きっと姉は実家に居座ったりしなかっただろう。しかし姉にとってその方が、もう少し真っ当に生きられるかもしれないと、池崎はたまに思ったりする。

母は二人の子どもの育て方を無意識に変えていた。母はひとり息子の池崎にはどこか期待していた。だから厳しいことも言うが、希望の大学に行かせるための金は惜しむこともなかったし、受けたい学校はすべて受験させてくれた。 一方姉の方には、期待もしなかった分、手を掛けることもしなかった。そんな母の思いが伝わったのか、姉はそこそこの大学に入学するも中退をした。しばらくは好き勝手に遊んでいたようだが、20歳をすぎて地元の小さな会社に縁故で入社した。

姉は母に期待され、それにしっかり応えている弟のことをみると、どこか不公平を感じていて、弟へ向けられる眼差しはいつも冷たい。

期待する母の視線も、冷めた姉の視線も、思春期の池崎にとっては痛かった。

だから、社会人になった今でも池崎が実家に帰省するのは正月くらいだ。地元の友人に会ったとしても、用事がなければ実家にはなるべく立ち寄らない。

そんな池崎にとって「結婚」とは、ただ好きだから、愛しているから、ずっと一緒にいたいから……そんなことではない。

池崎にとって「結婚」とはただ一つ。家族が増えること。 彼女の家族、そして、この母と姉の属する池崎家に彼女が加わるということ。

相手の家の一員になること自体はさほど抵抗はなかった。けれど、あの母と姉と自分の彼女がうまくやれるかどうか……そこに関しては、毎回、気が重い。特に、いま付き合っている百鳥ユウカは気が強いというだけでなく、7つも年上だ。

母と姉にユウカの話をしたらなんて言うだろうか。

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結婚できない2.0〜百鳥ユウカの婚活日記〜

菅沙絵

友人たちが彼女につけたあだ名は「レジェンド・ユウカ」。結婚市場に残された最後の掘り出し物という意味だと説明されたが、たぶん揶揄する意味もある。妥協を知らない彼女が最後にどんな男と結婚をするのか、既婚の友人たちは全員興味深げにユウカさん...もっと読む

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