せっかくここまでやったのには愚の骨頂〜サンクコスト

ホームページをリニューアルすべきか?それともやめるべきか?混迷する議論に、「ここまでお金かけたのにもったいない。」という感想が漏れる。それこそ、避けなければならないサンクコスト・バイアスだったのだ―― 平凡な女子高生が、青春を賭けて、出版社立て直しに挑む。ビジネス教養が一気に学べる、疾走感満載のビジネス小説、第21回!

ここでやめるのはもったいない?

「でも……」

これまで黙って話を聞いていた田之上が口を開いた。

「社長はご存じないかもしれませんが、これまでホームページは何度かリニューアルしてきて、少しずつ見やすさや更新作業のしやすさは改善されています。投資金額でいえば数千万円に達すると思います。だから、リニューアルをまったくしないというのは、これまでの投資をドブに捨てるようなことにならないでしょうか」

「あのホームページには、そんなにお金がかかっているのかあ。それを聞くと、リニューアルをやめるのはもったいないね」

「ちょっと待ってください」

今度は石島が話に割って入ってきた。

「その考え方は、ファイナンス的には正しくありません」

「そうなの?」

「なぜなら、投資の判断をするときには、プロジェクトを実施する場合のキャッシュフローと、実施しない場合のキャッシュフローを比較すべきだからです。言い換えれば、プロジェクトを実施することによって増加するキャッシュフローに着目する必要があるのです。これを『増し分キャッシュフロー』と呼びます」

「また、新しい言葉が出てきたね」

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女子高生社長、ファイナンスを学ぶ

石野雄一

小さな出版社の社長だった父の突然の訃報。 あとを継ぎ、社長に就任した女子高生の美鈴。 しかし会社は倒産寸前。銀行への返済期限は3ヵ月。 「出版不況」「返品の山」「使えない編集者」。 次々と難題が襲い掛かる。途方に暮れる彼女の前に 現れ...もっと読む

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