名刺ゲーム

人の人生変えておきながら相手の顔すら覚えてないんですか?って思ってる?

家族も部下も切り捨て、人気クイズ番組のプロデューサーまで上り詰めた神田達也。ある夜、息子を人質にとられた神田は謎の男から「名刺ゲーム」への参加を命じられる。1問目はかつて契約を打ち切った弁当屋の「大木真」を目の前の5人の男女から選ぶこと。神田は大木をクビにした理由を思い返してみるが……。昨年ドラマが好評を博した『名刺ゲーム』、人気放送作家がテレビ業界を舞台にサラリーマン社会の悲哀を抉り出す衝撃作。

6 神田達也

—あなたも小さな罪を隠すために噓をついたことはありませんか?

 あいつの言葉のおかげで記憶の倉庫からかけらを引っ張り出すことができた。このかけらで、俺は思いつくことができた。名刺一枚につき一個の質問。この質問を聞けば、大木真が五人の中から絞り込める。俺は五人に向かって言ったんだ。

—僕の嫌いな食べ物は、なんですか?

 それが俺の質問。この質問で絞りきれる、正直に答えてさえくれれば。あいつが五人を見てゆっくりうなずくと、一番左の炭水化物の男から一歩前に出て答え始めた。

—しいたけだと思います。

 二番目のショートカットの女は答えた。

—ブロッコリー。

 三番目の筋肉質の男は答えた。

—しいたけ。

 四番目の女は答えた。

—ゴーヤです。

 五番目、背だけでかい、巨神兵みたいな男は答えた。

—ブロッコリー。

 しいたけが二人、ブロッコリーが二人。ゴーヤが一人。この質問で一人に絞り込める。はずだった。あいつは俺の目をじっと見つめて聞いた。

—あなたの嫌いな食べ物は?

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この連載について

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名刺ゲーム

鈴木おさむ

家族も部下も切り捨て、人気クイズ番組のプロデューサーまで上り詰めた神田達也。ある夜、息子を人質にとられた神田は謎の男から「名刺ゲーム」への参加を命じられる。だがそれは、人間の本性を剥きだしにしていく《狂気のゲーム》だった――。WOWO...もっと読む

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