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「スマホはもはや俺の臓器」ってキュウソネコカミが歌っていたけどほんとにそう思う。スマホはもはや俺の臓器。そもそも、私がキュウソネコカミというバンドを知ったのも、スマホでYouTubeを見ていたのがきっかけだった。
スマホ、いつも持ってる。好きだから持ってるというより、ないと困るから持ってる。スマホは私のスケジュール帳であり、地図であり、電車乗り換え案内であり、寂しさまぎらわせツールであり、人の話聞きツールであり、仕事の連絡ツールであり、買い物リストであり、カメラであり、レシピ本でありゲーム機であり懐中電灯である。そう、すべてである。
便利である。めっちゃ便利なのである。だからこの記事では、「スマホを捨てよ町へ出よう」みたいなことを言うつもりはない。私も捨てないし。むしろ捨てないために……スマホに使われず、スマホを使い続けるために……覚えておきたいコツがあるなあと思ったので、それを書き留めておこうと思う。そんな文章があなたの目の前の画面に表示されるところを思い描きながら。
これに気づいたのは、しーんと寒い朝のことだった。
寒かった。寒い中私は、顔面に冷水を浴びせていた。繰り返し冷水を浴びせていた。なぜか。
毛穴を引き締めたかったのである。
「毛穴 ケア 方法」かなんかでググったのだと思う。検索結果は「冷やせば毛穴が引き締まる」とか、「ユンソナは毎朝顔に冷水を浴びせて毛穴レスな陶器肌をキープ」みたいな記事だった。なりたい、毛穴レスな陶器肌に。ということで私は、顔面にガンガン冷水を浴びせていた。
結果はどうだったか。
つめたかった。
おててとおはなが、しゅーんとつめたくなった。
さっむーい、って思った。
思ったが続けた。だって毛穴レスな陶器肌になれるって書いてあったから。それで頑張ったのだが、冬の何ヶ月か頑張ったのだが、どうも、どう考えても寒いだけだった。顔が寒いだけだった。
ひやひやに冷えた顔面を手で覆いながら、鏡の中の自分を見る。
毛穴よ毛穴、どうしてあなたは消えないの?
まじ消えて!
デジョン(※ファイナルファンタジー的に言った場合)!
えーんがちょっ(※昭和のガキ的に言った場合)!!
って、いろいろ呪文を念じていたら、頭の中に、ある女性が登場した。
美魔女だ。
かつて私にメイクを教えてくれた、美魔女さんだ。
「マスカラを塗る時はね……」
いい女である。頭に、ブルゾンちえみがキャリアウーマンネタの時に流すオースティンマホーンのあの曲が鳴りそうな感じである。
♪ドゥッデンッデンデデン、ドゥデデデンッデンデデン。
「マスカラを塗る時に、『マスカラを塗ってる』って意識でいるんじゃない?
そんなんじゃ、ダメよ!
マスカラを塗るときはね……『まつ毛、伸びろ!!』って意識でいなくちゃ! マスカラを塗るのはなんのため? まつ毛を長く、目を大きく見せるためでしょう? そこに意識を向けなきゃ!」