なぜ悩める女子たちがマツコ・デラックスに相談したがるのか

どうして私たちには「思い」というものが備わっているのか。思いは時に私たちを苦しめるし、思いのおかげで助けられることもある。この思いというものがある人生と、ない人生と、どちらがいいのか? そう尋ねられたら、デカルトは「いろんなことを思って悩んだほうが楽しいでしょう?」と答えるはず。どうせだったら飛び切り「カラフルな人生」を送りたい! 『デカルトの憂鬱』著者・集中連載インタビュー第3弾!

—なるほど。しかもデカルトの考え方はとてもユニークで、何か不満を抱いたときに「世の中が悪いんだ!」と考えるのではなく、「自分の思想を変えるべきだ!」と考えたようですね。

津崎 もちろんデカルトだって「こんな世の中はおかしい」と嘆くことはあったと思います。デカルトが生きたのは宗教戦争の時代で、同じキリスト教徒がカトリックとプロテスタントに別れて殺し合っている。そうした時代に不満を感じていなかったわけではないと思いますけど、それをことさらに表現することはなかったですね。

—これは現代にも共通することだと思うんですけど、世の中が大変なことになっていればなっているほど、「この社会をこう変えるべきだ!」という人が出てきます。デカルトも不満を抱いていたとしたら、なぜそれを主張しなかったんですか?

津崎 世の中を変えるより、自分の思いを変えるほうが簡単だからです。「社会を改革する!」と言っても、うまくいかないことが多いでしょう。うまくいかないことが多いというのは、実現の可能性が低いということで、そういうものに賭けるということを彼はしない。そういう意味では、ものすごく合理的に判断する人間ですね。

この本の中でも引用されているように、デカルトは「いつも何か新しい改革のことを思い描いている」「あの喧しくて落ち着きのない気質の人たち」は「けっして容認できない」と書いています。政治の世界でも組織の中でも改革を掲げる人は多いですけど、それは非デカルト的なんですね?

津崎 ええ、とっても非デカルト的です。先ほどもお話ししたように、デカルトの生きた時代というのは、様々な分野で物の見方ががらりと変わった時代なんです。だから、「自分の思いや考えは変えることができる」ということを実体験として知っていたわけです。自分の思想というのは自分自身に裁量権があるから、自分で変えることができる。慎重なデカルトをして「自分の思想のほうを変えるべきだ」なんて大胆なことを言わしめたのは、確実に成功する可能性があると身を以て知っていたからです。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

この連載について

初回を読む
デカルトの憂鬱

津崎良典

悩みや心配、悲しみ、怒り、憎しみ……そんな「マイナスの感情を確実に乗り越えられる方法」はあるでしょうか? あの「我思う、ゆえに我在り」であまりにも有名な近代哲学の祖・デカルトが、私たちに降りかかるマイナスの状況にいかに対峙すべきか、「...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード