ビットコインの法整備、会計ルール、消費税の扱いは?

こんにちは。大塚雄介です。ビットコインって何なの? どんな仕組みになっているの? わたしたちの生活にこれからどう関わってくるの? といったことについて、ムズかしい専門書を読まなくてもわかるよう説明していくこの連載。今回は、ビットコインの法整備、会計ルールや消費税について解説します。

法律が変わることで事業の環境が変わり、マーケットが変わります。一般のユーザーにとっても、使えるサービスが増えたり、できることが増えたりします。

2016年5月25日に資金決済法が改正され、2017年春には施行されます。日本が世界に先駆けて国として「仮想通貨とは何か」という定義を定めた画期的な法律で、仮想通貨に対してここまで踏み込んだ法律をつくった国は、どこにもありませんでした。

この法改正で、仮想通貨を取り扱う事業者には、大きく分けて2点の義務が課されます。一つは、マネーロンダリングを防ぐため、銀行と同じレベルで、仮想通貨を取引する人の本人確認を徹底すること(『ビットコインは、マネーロンダリングに利用される心配はないの?』参照)。もう一つは、仮に事業者が破産したとしても利用者を守るため、顧客からの預かり資産と、事業の運営資金を別々に管理すること(『ビットコインが盗まれる心配はないの?』参照)、です。

どちらも、すでに本文で説明したとおりですが、私たち事業者にとっても、何をどこまですればいいか、判断基準ができたことは歓迎すべきことです。また、これまで法的にシロかクロかがはっきりしないグレーゾーンが広がっていたため、手を出しにくかった大企業も、今後は続々とプレイヤーとして参入してくるものと思われます。


世界に先駆けた日本の取り組み

実は、世界的に見ても、仮想通貨をきちんと定義できている国はほとんどありません。ニューヨーク州法でかなり厳しい条件付きで認められたほかは、目立ったところはないのです。そのため、日本の先進的な取り組みは、世界的にも注目を浴びています。たとえば、韓国でも日本の法律を参考に法整備の動きがあります。

各国で仮想通貨まわりの法整備が整っていけば、いろいろな企業が参入し、さまざまなサービスが登場して、ユーザーも安心・安全にデジタル通貨を使うことができるようになり、新しいデジタル通貨の幕開けになるのではないかと期待しています。

ビットコインの歴史でいうと、自分たちの理想を実現するために、限られたメンバーによって運用されていた段階は終わりを迎え、現在は、この新しい技術がどうやって社会に定着するか、ルールづくりを通じてうまい着地点を見つけている段階ということができます。

もともと仮想通貨は誰にも縛られないお金であり、どこの国にも属していないという意味で、独立独歩のリバタリアン的な理想を持って生まれたのですが、社会と接点を持とうとすると、どうしても法律で縛られたり、税務上のルールに則っていかなければならないので、そこをうまく着地できるかどうか、試されているのだと思います。

世界の先陣を切って日本が法整備に動いたというのは、かなりインパクトのあることで、私たち事業者もそういう場に参加できているという実感があります。

日本が国として仮想通貨に積極的になったのは、タイミングがよかった面もあります。アベノミクスで新しい成長戦略を描いていくときに、いままでのように製造業に頼るだけでは、GDP(国内総生産)を100兆円積み増して600兆円台に乗せるという安倍政権の目標を達成するのはむずかしそうだ。

では、どこで数字を積み上げていくかを考えたときに、ブロックチェーンないし仮想通貨という新しい事業領域を切り拓いて、それをアジアに売り込んでいく。そういう思惑があるせいか、行政サイドも乗り気なので、私たち事業者にとっても完全に追い風です。


ニューヨーク州の厳しすぎる規制

仮想通貨のような新しいジャンルについては、米国のほうがルールづくりがうまい印象があるかもしれませんが、州ごとに法律が異なることと、ニューヨーク州が最初にガチガチに固めて規制してきた影響で、2015年頃、ビットコイン業界に暗雲が垂れ込めました。

ビットコインを扱うには、仮想通貨のみならず、為替やデリバティブなど、既存の金融機関並みの許可をとらないと参入できないという厳しい条件がつけられたため、IT系のスタートアップにはハードルが高すぎて、ビットコイン事業はできなくなるのではないかという危惧が広がったのです。

ニューヨーク州には、既存の金融業界の中心地であるウォール街があり、その兼ね合いで、ITベンチャーによる新規参入が制限された可能性があります。ただ、ニューヨーク州の規制が厳しすぎるなら、事業者が別のもっと規制のゆるい州に出ていけばいいだけなので、そのあたりは一概にはいえません。事実、ニューヨーク州の強力な規制が全米に広がるとマズイことになると思っていたら、カリフォルニア州ではまったく違う方向で議論されていて、そのあたり、米国の懐の深さを感じます。

規制が厳しすぎると、ユーザーも不利益を被る可能性があります。

たとえば、私たちのところには、インターネットを通じて世界中から取引の申し込みが入ります。そこで私たちは本人確認をして、ニューヨーク在住の人ではないことをチェックし、ニューヨーク州の人は全部はじいているのです。そうしないと、米国で犯罪マネーの動きを追っている人たちに目をつけられ、たとえば私が出張で米国入りした瞬間に逮捕、ということになりかねないからです。

規制が厳しすぎることで、ニューヨーク州の人たちは逆にかわいそうなことになっているのです。ビットコインの恩恵にあずかれないわけですから。


会計上の取り扱いは?

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本記事は、書籍『いまさら聞けない ビットコインとブロックチェーン』(ディスカヴァー刊)の内容を一部抜粋、編集して掲載しています。

いまさら聞けない ビットコインとブロックチェーン

大塚 雄介
ディスカヴァー・トゥエンティワン
2017-03-24

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