丸山ゴンザレス的、バンコクダークツーリズム

テレビ『クレイジージャーニー』でもお馴染みの旅行作家・丸山ゴンザレスさんが責任編集を務める辰巳出版の『最強ナビ』シリーズ。「タイ編は出ないのか?」という声に後押しされて、ついに『タイ旅行最強ナビ』が刊行されました。
今回は、『タイ旅行最強ナビ』にコラムを執筆した室橋裕和さん、西野風代さん、丸山さんの3名が登壇したイベントの様子を特別公開いたします。 
第1回目は、丸山さんおすすめのバンコクの歩き方をご紹介します。

初心者でも入りやすい!? バンコクのスラム

室橋裕和(以下、室橋) 丸山さんといえばスラムのイメージがありますが、バンコクのスラムにも行きますか?

丸山ゴンザレス(以下、丸山) バンコクにもいくつかスラムがあるんですが、一番有名なのはクロントイスラムですよね。バンコクの南にあるクロントイ市場のすぐ横にあります。10万人くらい住んでいるといわれているスラムなんですけれども、スラム初心者でも比較的入りやすいです。スラムの中の人たちも、外国人が興味半分で来ることをわかっていて、内職して作ったお土産物を売っていたりします。もともと湿地帯だったエリアで、クロントイスラムに入ってすぐのところには、ワニを祀っている廟があります。

室橋 下の方にも小さいワニがたくさん飾ってありますね。

丸山 こんなにワニを祀らなくてもいいと思うんですけど(笑)。日本ではもうあまり見かけなくなった、煙玉や爆竹を売っている商店もありました。

室橋 スラムの中で爆竹を鳴らしていると「テロか!?」みたいな感じになってびびりますね。

丸山 爆竹かと思っていたら、時々、本当の銃声のときもありますけどね。

室橋 外国人がクロントイスラムの中をウロウロしていてもあまり危険はありませんが、麻薬の摘発や隠し撮りなどをするんじゃないかと思われて警戒されることはありますよね。

丸山 動画だったら警戒されますね。僕は1回、VRカメラを持って行ったんですよ。スマホに取り付けられるタイプのものではなくて、球形のタイプだったんですが、最新鋭すぎて誰もわからなくて。「あいつ変な棒持っているな」という感じで、動画を撮っていると思われずに済みました。

洗濯物がその国の暮らしを語る

丸山 スラムの中にはコインランドリーもあります。スラムというと、洗濯物を手洗いするイメージがあったんですけど、コインランドリーがあったことにちょっと驚きましたね。

室橋 タイ人はそんな面倒くさいことはしませんけどね。

丸山 確かに (笑)。スラムの歩き方のひとつとして、僕は洗濯物に注目することをおすすめします。こういうふうに、制服を洗って干している人がいるんですよ。こういうのを見ると「マックの店員さんってここから出勤してるのね」とかわかるじゃないですか。

室橋 タイの店員さんって、制服を支給されても面倒くさがって、お店で着替えずにうちからそのまま行っちゃう人が多い。

丸山 出勤のときからすでに着ている姿はよく見ますね。

西野風代(以下、西野) 着替えるところがないっていう話も聞きますよ。

丸山  20年くらい前は、マクドナルドやケンタッキーは外資系企業というイメージが強くて、外食産業の中でもエリートの人たちが勤める店だったんですよね。今はファストフードとしての扱いになっているというのが、洗濯物を見るとよくわかります。そういうことを考えながら回ると意外と楽しいかもしれないですよ。

室橋 いや……気軽におすすめしていますけど、スラムに入るのはなかなか勇気が入りますよ。

丸山 いやいや、市場の隣ですよ。余裕っすよ。

室橋 例えば、女性1人でクロントイスラムに入ろうかという気に……なりますか、西野さん?

西野 私は以前、クロントイスラムの中にある幼稚園に取材で行ったことがあるんですけど、思ったほど怖くないなと思いましたね。昼間だったらそれほど怖くないと思います。

丸山 まあ、自己責任ってことですかね。

心霊ツアーで最も怖かったのは?

丸山 最近、チャオプラヤ川沿いに建つ巨大な廃墟「サトーン・ユニーク・タワー」にも行きました。15年くらい前、完成前に資金がショートして建設がストップしたビルなんですけど、いまだに残っているんですよね。ここは、タイでも最大級の廃墟なんですが、何が面白いかというと、中に入れるんですよ。本当は入っちゃダメなんですけどね。

室橋 ちょっと前まではジャンキーの巣窟といわれていましたね。

丸山 本当は屋上まで行けるんですけど、外国人が屋上でパーティーをやっていて転落死だか、自殺したやつがいたとかで、そこから立ち入りが制限されるようになって、ビルを囲むように外壁ができちゃったので、入りづらくなりました。

室橋 タイ人はお化けの話が大好きだから、こういう廃墟は「お化けが出る」と噂になって、すぐに心霊スポットになるんですよね。タイではお化けのことを「ピィ」って呼びますけど、「俺はあそこに行ってピィを見たんだぜ」という話をすると女子にモテるという……。

丸山 わはは(笑)。ただ、タイのお化けは日本と姿形が違うから、話をされても全然怖くない。信号機の上から見ていて、その下の胴が地上につくくらい長いお化けとか。

室橋 首に内臓がくっついているだけのお化けとかね。

丸山 こっちの文化圏からすると、怖いというよりむしろ面白いんですよね。この間、『タイ旅行最強ナビ』でも執筆してくださった高田胤臣さんいうライターと一緒に、バンコク心霊ツアーに出かけたんですよ。スワンナプーム空港の近くに、日本人が所有していた洋館があるんですけど、タイ人から「その洋館に入った強盗に幼い少女が殺されたんだ。以来、その洋館では少女が暴れている物音がする……怖いでしょ?」って言われて。その話をもとに来てみたら、洋館は既に取り壊されていました。「なんか残念ですね」って話しながら、洋館の跡地に置いてある人形を指差して「ところでこれは何ですか?」って高田さんに聞いたら、「タイでは人が死んだところに人形を置くんですよ」って言われて。

室橋 お化けの話より、その習慣の方がよっぽど怖いですね (笑)。

丸山 この話をタイ在住の知人にしたら、「うちの近所にめっちゃ置いてあるんですけど……」って固まってましたね。

ダークツーリズムのあとはヤードンで乾杯!

丸山 僕的ダークツーリズムを締めくくるのは、ゴザ居酒屋ですね。

室橋 ファランポーン駅の目の前にあるソムタム屋台ですね。夜になるとゴザを敷いて屋台を出す。40年くらい前からあると思うんですけど、皆さんイサーン地方のロイエット県スワンナプーム郡という田舎から出てきていて、故郷が同じなんですよね。

丸山 ゴザごとに権利があって、そこを空けちゃうとほかの人が来ちゃうので、自分の親類とかを連れて来て継がせているそうですよ。姪っ子とかが夏休みになると上京させて、手伝わせて仕事を覚えさせるんですって。

室橋 でも基本的に、彼女たちがやっていることは道路不法占拠なので、本当は違法なんです。

丸山 このゴザ居酒屋で出すヤードンっていうお酒がいいんですよね。漢方薬をつけこんで改変しているので、法律的には密造酒にくくられてしまうんですが、非常においしいお酒です。色は毒々しい赤色で、僕は10本くらい飲まされました。スラム、廃墟、心霊スポットというダークツーリズムを楽しんだら、最後はゴザ居酒屋のヤードンですっきり酔いましょう。

(構成:東谷好依)

室橋裕和(むろはし・ひろかず)大学卒業後ライターとしての活動を開始。1998年『バックパッカーズ読本』で執筆&編集を担当。その後、『週刊文春』記者を経て、2004年にタイ移住。現地発の日本語情報誌の編集記者として活動後、2014年、日本帰国。フリーランスとして活動中。

西野風代(にしの・かぜよ)週刊誌記者、女性誌編集などを経て、2006〜2013年、タイに在住し、『Gダイアリー』などの雑誌やウェブのライター、コーディネーターとして活動。現在は東京を拠点に、フリーライターとして様々な媒体に執筆中。

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旅の賢人たちがつくったタイ旅行最強ナビ

丸山ゴンザレス&世界トラベラー情報研究会
辰巳出版
2017-12-01

この連載について

旅の賢人たちが教える、本当におススメしたい最強のタイ旅行

丸山ゴンザレス

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コメント

MDpsychosisM 「スラムにコインランドリーが置いてあって驚いた」〜「タイ人は手洗いなんてめんどくさいことしませんよ」笑えるなぁ。https://t.co/cDJ48qArWD 19日前 replyretweetfavorite

granat_san タイでは人が死んだところに人形を置く……怖っ!! 19日前 replyretweetfavorite