売却と新たな起業のサイクルを繰り返し、起業家人生を満喫しよう。

「会社を売却することを前提に起業をする」という斬新な働き方を提案する、正田圭さんの新刊『サクッと起業してサクッと売却する 就職でもなく自営業でもない新しい働き方』の特別掲載、第31回。起業を株式投資として考えると、究極のインサイダー取引だ。サクッと起業してサクッと売却して儲かる理由は、これが超合法的インサイダー取引だからなのだ!


━会社の「売り時」とは━


 では、会社を売ったらいいタイミングはいつなのだろうか?これは非常に重大な問題である。会社の売り時を逃したら、すごくもったいない思いをすることだってある。僕が思うに、「ここから先は企業価値を上げるのに時間がかかる」ときである。 「時間がかかる」というのは、だいたい数年スパンと思えばいい。

 なぜこのタイミングなのか?企業の成長度合を表す放物線を描くとしよう。はじめはやるべきことが多く、いったん成長曲線は下向きになるかもしれないが、方向性が大きく間違っていなければ、会社の業績は急速に伸びていく。成長曲線は急な角度を描くだろう。これを「Jカーブ」という。


 ただ、それは長期間は続かない。考えうる限りの手を打ち終わってしまえば、その後の成長は鈍化する。つまり、成長曲線の角度は小さく、ゆるやかになっていく。創業当初は、売上倍増を達成するのに1年しかかからなかったが、会社がある程度まで成長し切ってしまうと、売上を2倍にするのに3年かかる。たとえるなら、そんな状態である。そうなると、次の成長フェーズが訪れるまでには長い時間を要する。業績がいったん下降するときだってあるかもしれない。

 おもしろい話だが、100店舗展開している事業を、儲かっている上位3店舗だけに縮小しても、利益は変わらなかったりする。規模が大きくなるにつれて、システム投資、中間管理職の増加など、様々なコストも増えてくるからだ。そのカーブ地点こそが、まさに「売り時」である。このゆるやかな成長曲線に乗っているうちに会社を売却し、また急な成長曲線を描ける別のビジネスにシフトする。そのほうが、トータルで見たときに時間効率がバツグンに良くなるのだ。


━超合法的なインサイダー取引を実行せよ!━

 新しいビジネス、しかも「おいしいビジネス」が見つかるまでに必要な時間はだいたい2年というのが僕の経験則である(これは完全に僕の経験則なので、あまり参考にはしないでほしい)。2年もあれば、成長性の見込めるビジネス、次にやってみたい「これだ!」というものは見つかっている感じがする。それまでは会社の売却益で旅に出るなり、勉強するなりして、次の手をじっくり考えるのが僕のスタンスだ。

 ところが、会社を売った後のことが不安で、せっかく売れる会社を作ったのに売る決断ができない人、買い手がいるのに売るのを渋る人は少なくない。これは、自分の会社に愛着があるというよりも、ゆるやかではあっても成長を続けている会社にいて役員報酬が定期的にもらえる「コンフォートゾーン」から出るのが怖いだけだったりする。

 余談になるが、僕が会社を売ったときのことだ。僕が通っているジムのトレーナーが、興味深そうに売却の状況を聞いてくる。売却がうまく進んでいる話をすると、不安そうに「売るのはもったいなくないか?」と聞いてくる。自分なら毎月入ってくるお金がなくなるから怖くて売ることなんかできない、ということだった。しかし僕に言わせれば、成長曲線が鈍くなった会社を持ち続けて、その後も事業が拡大していく保証はどこにもないのだ。
 飲食業ならたった1件の食中毒がきっかけであっという間に会社が倒れるかもしれない。何億円で売れば一生生活に困らない、という保証もない。

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サクッと起業してサクッと売却する 就職でもなく自営業でもない新しい働き方

正田圭

本書は「会社を売却することを前提に起業をする」という斬新な働き方を提案します。「起業はハードルが高い」「会社を売るのはさらに難しい」と思われがちですが、「会社を作って売却するのは、世の中に数ある儲け話の中で、一番確実で、一番地に足の着...もっと読む

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