見栄を張らない柔軟さが成功のヒントとなる。

「会社を売却することを前提に起業をする」という斬新な働き方を提案する、正田圭さんの新刊『サクッと起業してサクッと売却する 就職でもなく自営業でもない新しい働き方』の特別掲載、第25回。起業をすると想定外のことが起こります。うまくいかなくてもいいから、見栄を張らず戦略を柔軟に変えていくことが成功につながるのです。


━優れた起業家は「ピボット」をおそれない━


 起業家は「ピボット」が大事である。
 ピボットとは、バスケットボールの用語にもある言葉だ。片足を軸として固定しつつ、もう片方の足を全方位に動かして相手のリズムを崩し、パスやショット、ドリブルといった次の動作に移りやすくするための動きである。

 起業すると、まず事業計画どおりに事が進むことはない。想定外、予定外のことが起こり、思わぬトラブルが降りかかることもある。そんなときに硬直していては、物事は解決しない。想定と違うことが起こったならば、戦略を柔軟に変える。場合によっては事業内容自体を見直すなど、迅速にピボットをすることだ。それが事業を長続きさせるコツである。

 最初に起こした事業をなんとしてもやり遂げなければいけないということはない。起業家はビジネスの世界で生き残り、成功することが大事なのだ。例えば、dely 株式会社代表取締役の堀江裕介氏、ココン株式会社代表取締役社長の倉富佑也氏は、いずれも1992年生まれの起業家だ。2人とも学生時代に起業し、ピボットを経験し、その後の事業で飛躍した。優れた起業家はピボットが得意である。

 堀江氏は起業当初に始めた出前のポータブルアプリをやめて料理動画レシピのサービスをスタートさせ、今や世界最大級のレシピ数を誇る料理動画サイトに成長させた。倉富氏は中国でベーグル専門店を出店し、一時は成功したもののトラブルが発生して撤退。その後、ソーシャルゲーム向けのイラスト制作事業をメインとする会社を立ち上げ、現在はサイバーセキュリティやクラウドソーシングの領域で事業を成長させている。


━今年失敗しても来年成功したら「成功者」━

 生き残るためにはつまらない見栄を張らないことだ。例えば、事業が赤字になっているのに、その事業をストップさせるのが恥ずかしい、周りにどう思われるか、取引先に迷惑をかけるかもしれない、などの感情は、意思決定を遅れさせる原因になる。判断が遅れれば、結果的にもっと迷惑をかけてしまうことにもなりかねない。時と場合によっては、人に迷惑をかけることもおそれないことだ。期せずして周りに迷惑をかけてしまうことがあっても、次の年に成功していれば、あなたは「成功者」と言われるだろう。ビジネスの世界とはそういうものだ。

 もちろん、むやみやたらに迷惑をかけていいと言っているのではない。しかし、自分の体裁だけ考えて意思決定を先送りにしても誰も喜ばない。あなたの信用も結果的にガタ落ちになってしまう。人の評判は気にしない。人に迷惑をかけても気にしない。人と揉めることをおそれない。起業家には、いい意味での頑固さも時には必要なのだ。

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サクッと起業してサクッと売却する 就職でもなく自営業でもない新しい働き方

正田圭

本書は「会社を売却することを前提に起業をする」という斬新な働き方を提案します。「起業はハードルが高い」「会社を売るのはさらに難しい」と思われがちですが、「会社を作って売却するのは、世の中に数ある儲け話の中で、一番確実で、一番地に足の着...もっと読む

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