今井舞「毒・ブッタ斬り!」の精度
年始発売の『週刊文春』に必ず掲載される、今井舞による「毒・ブッタ斬り!」紅白歌合戦レビュー記事の精度の低さには毎年驚く。たとえば、「YOSHIKIの年末からの唐突な『親しみやすい』へのキャラ変更は、海外ビジネス撤収への狼煙なのか?」との嘲笑。仮にそれがキャラ変更だとしても、一連の番組出演がドキュメンタリー映画DVDのプロモーションであり、その作品がむしろ海外ビジネス拡大への狼煙に位置づけられていると知るのは容易である。X JAPANは90年代にToshlの英語力が仇となり海外進出を諦めており、今改めて、との思いがある。ネット記事を適当に覗き見しながら書いたのでは、と推察されるが、もし番組を見た上でそう書いているのならば、更に事態は深刻である。
手の動きが常に優美
バラエティに出ているYOSHIKIを見ていて、目がいくのは、手の動きだ。手の動きが常に優美であることによって、佇まいが安定している。『芸能人格付けチェック!』に出演し、発表待ちの部屋でおかきを13個も食べたことが話題になったが、一つ一つのおかきを取り扱う手つきは、(まったく知らないけど)ジローラモが女性をエスコートするような、過剰な丁寧さがあった。
バラエティに出るYOSHIKIの手はいつも何かを整えている。ほんの少しだけ垂れてきた前髪を整え、ほんの少しだけ乱れてきたシャツの胸元を整えている。手のやり場にいつも困っている。その困った手の動きに、視聴者の目がいく。今は自分が発言する場面ではない、と判断した途端に、手にはリップクリームが握られ、その行為を突っ込まれる、という流れが生まれる。長年リップクリームを率先して持ち出して笑いに変えてきた柳沢慎吾にしてみれば、思ってもみなかった商売敵の登場である。おかきをとる時も、リップクリームを塗る時も、手の動きが優美なのだ。