━学生起業家の最大の障害は「親」━
高校生はダメですか? 大学生はダメですか? という声が現時点でも聞こえてきている。実際、よく聞かれる。
しかし、一つ言っておく。自分は高校生以上には冷たい。なぜなら、僕は高校生の時点ですでに稼いでいたからだ。19歳の頃には1億円を作っていた。 「高校生にもなれば、もう義務教育でもないのだし、自分で稼げるでしょ」と思っている。そのため、無料にはしない。
僕がこのプロジェクトで一番やりたいことは、今の10代に対する起業提案もだが、それだけではなく、今の若年層の親たちの世代に向けて、子どもの起業を前向きにとらえてもらうことだ。これもミッションの一つとしている。
10代の起業における最難関は「親」である。ほとんどの10代は親離れできていないし、自立してもいない。逆もまたしかりで、10代の子供たちのほとんどの親は子離れできていない。むしろ、親離れできていない子供よりも、子離れできていない親の方が多いと感じる。
10代の子どもの場合、親の発言力がどうしても強くなり、起業でなくても親に反対されたら諦めてしまうことが多いだろう。
しかし、それではもったいない。起業は何回もやればやるほど得意になっていく。早い段階で始めて回数を重ねたほうが「強く」なれる。やりたいなら、一日も早く始めるべきだ。
だが、親に「起業したい」と馬鹿正直に言ったところで十中八九、反対されるだろう。10代後半に起業したいなんて言えば、「大学受験があるのに何を考えているのか」と猛烈に反対されるのが目に見えている。高校2年、3年で部活動をしていても、親が学校に苦情を言うような時代である。反対されるに決まっている。
僕が15歳で起業したときも、似たようなことがあった。1学年下の友人と共同で会社をやることを考えていたのだが、彼は親の反対に遭ってしまい、共同経営を断念した。彼は中堅のアパレル系企業として代々続く家の跡取りだった。親からすれば、大事な跡取り息子が失敗して経歴に傷がついては困る、というわけだ。
しかし、起業や会社経営に関して周りの言うことに振り回されていてはどうしようもない。自分の理想に向かって突き進んでいくのが起業であり、会社経営だからだ。親くらい振り切れないで、この先やってはいけない。僕は、親には会社のことは一切黙っていた。
僕らが10代の子どもたちに提供できる一番大きなことは、ファイナンスや企業の知識ではなく、親の足かせを外すことなのかもしれない。
10代での起業をより活性化するには、子どもの教育よりも親の教育の方が必要だったりするのだ。10代で起業を考える時点で、その子はおそらく優秀だ。僕自身、その優秀な子たちを教えるというよりも、どちらかと言えば彼らから学ばせてもらいたいという気持ちが強い。彼ら、彼女らがどんな視点でビジネスモデルを構築し、実行していくのか、大変興味がある。
起業家は若い人ほど優秀だ。僕が連絡を取り合っている25歳前後の起業家たちは、みな大変優秀だ。
僕は、若い人たちから情報を取り入れるために、TLM1号投資事業有限責任組合というVCのリミテッドパートナーになっている。ゼネラルパートナーである木暮圭佑氏は、国内で最年少の独立系ベンチャーキャピタリストであり、23歳の時に自身のファンドを立ち上げた。
TLMは、いわゆるベンチャー企業のシードラウンドに投資するファンドであり、「ヒカカク!」や「スマホのマーケット」を運営するジラフなど10社以上のベンチャー企業に出資している。
この木暮氏のプロダクト感覚や海外事例の知識には毎回驚かされる。
僕も本を読むのが好きだし、インターネットもよく見ており、情報収集は意識的にしているほうだと思う。それでも、彼らと会って話をすると、知らない情報にたくさん触れることができる。キュレーションメディアに毎日目を通していても、取りこぼしている情報が多々あることに気づかされる。
TLMファンドに出資することは、僕にとっての「リアルキュレーション」なのだ。
実際にTLMファンドが出資していたり、接点を持っていたりする人たちとのやり取りに交ぜてもらうことで、今まさに流行っているもの、若い世代の間で話題になっていること、それに対する彼らの感想や意見を定期的に聞くことができるのだ。そしてそれは、僕の知識や情報を最新版にアップデートするのに役立っている。ちなみに、木暮さんも「pedia venture program」の講師を務めることを快諾してくれている。
実は、「pedia venture program」は、年下からビジネスモデルを学ぶ場にもなっていけばいいなと考えている。10代だけでなく、年下から学びたい大人たちも、ぜひ「pedia venture program」に入会していただければと思う。
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