お金も時間も気にしなくてよい状態になったら、あなたは何をする?

「会社を売却することを前提に起業をする」という斬新な働き方を提案する、正田圭さんの新刊『サクッと起業してサクッと売却する 就職でもなく自営業でもない新しい働き方』の特別掲載、第10回。長い人生のうち「働かない」という選択肢を選ぶ時期があってよいのだ!

━人生に「踊り場」を作る━

 人生にはサイクルというものがある。ガムシャラに働く「動」の状態と、しっかり充電するための「静」の状態だ。
 では、どうしたらこの「動」と「静」の状態を使い分けることができるのか?それは、人生の節目節目で「踊り場」を作ることだ。ある意味、大学生という期間は一種の踊り場になっているのかもしれない(自分は大学に行っていないからよくわからないが)。これまで右も左もわからず、半分くらいは親の意見に流されながら生きてきたのが、親の目からも少し離れ、受験に追われることもなく、自分を見つめなおす時間が取れる期間(なのじゃないかなと思う)。 「踊り場」とは、お金も時間もある状態のことだ。そういう状態のときに、初めてまともな意思決定ができる。 「貧すれば鈍する」なんて、非常に的を射た言葉だと思う。

 お金も時間もない時に、良い意思決定なんてできないのだ。

 今、お金も時間も気にしなくてよい状態になったら、あなたは何をする?
 心身の疲れを癒すために旅行へ出てもいいし、今まで我慢していた趣味にめいっぱい時間を充ててもいい。サラリーマンとしてどこかの会社に勤め直すのも自由だし、奥さんとカフェを始めてもいい。家を買うのも自由だ。家でのんびりしていても会社やクライアントから呼び出されることはないし、誰に気兼ねする必要もない。もちろん、次のビジネスの構想をじっくり練ることもできる。

 この自由な感覚を、ぜひ多くの人に体験してほしい。そして、自分としっかり見つめ合う時間を取り、次にやることを自分の意志で決めてほしい。
 そう思うから、僕は周りに、会社を作って売却することを勧めている。

 自分が働くか働かないかを自分で意思決定するならば、長い人生のうち「働かない」という選択肢を選ぶ時期があってよいのだ。

 僕はこれまで、働くか働かないかを自分で意思決定すべきだとは言ったが、「働かない」イコール「遊んでフラフラしろ」と言っているわけではない(もちろん、遊んでフラフラしてたっていいわけだが)。
 働かない期間にはいろいろなことができる。遊ぶこともできるし、留学してスキルアップを図ることもできる。時間とお金がなくて諦めていたことにチャレンジするのも自由だ。その中で自分の可能性ややりたいことが見つかったら、次に始動するときは方向転換すればいい。働かない期間を、自分の理想に近づくための準備期間ととらえるのだ。だから、働かない「踊り場」の期間を、みんなもっと作るべきである。

 だからこその提案だ。
「29歳までに1億円作って、自問自答する時間を持て」  実際のところ、大学生だと若すぎる。経験があまりにも少ないから、そこでの時間を有意義に使えない。かといって、60歳とか65歳では、少し遅い。できれば30、40、50の節目節目で踊り場を作りたい。ある人が「30代こそバックパッカーをやれ」と言っていた。自分は絶対やらないが、30代にこそ自分を見つめなおす時間を取るべきだという趣旨の話で、それには激しく同感する。


━会社を売って旅に出よう━

 サクッと起業して、サクッと売却した後は、世界一周の旅に出るのも自由だ。
 思う存分、自由な時間を満喫していると、そのうちにまたやりたいことが見つかるものだ。僕自身、会社を売った後、海外旅行をすることが多い。香港、マカオ、ロサンゼルス、ニューヨーク、ドバイは、仕事でもプライベートでも何度も訪れた。海外へ行くとあらゆることから刺激を受ける。買い物一つ、食べ物一つとっても、何から何までもの珍しい。当たり前だと思っていた日本での前提知識が全く異なり、ハッとさせられることも多い。

 ドバイからアブダビへ行くときのことだ。僕は、車で砂漠を横断すると聞いていたから、酔い止め薬をしこたま日本から持って行った。僕は乗り物酔いしやすい。砂漠をガタンガタン揺られながら、ジープかなんかで何度も吐きそうになりながら横断すると思っていたため、アブダビへ行くのがすごく憂鬱だった。酔い止め薬を忘れていないかどうか、飛行機に乗るまでに10回は確認したほどだ。
 ところが、酔い止め薬の出番はなかった。そもそもジープではなくタクシーで行けた。しかも、日本のタクシーよりよほどきれいで、道路もきちんと舗装されていて、1ミリも揺れることなどなかった。

 また、ドバイのエルメスで買い物をしたときのことだ。僕は妻がエルメスで物を買ったとき、あのオレンジの袋ではなく、無地の黒い袋に入れてもらうようにしている。引ったくりに遭うのが嫌だからだ。
 ドバイのエルメスで黒い袋に入れてくれと言ったら、オレンジしかないと言われた。僕はそのとき、やはりドバイでは日本のような気の利いたサービスは受けられないんだなと思い、嫌みの一つでも言ってやろうと考え、「日本だと必ず黒い袋も用意してくれているのに」と言った。そう言った瞬間、ドバイのエルメスの店員に爆笑された。 「お客様、ここはドバイです。日本と違い、引ったくりなんていませんから安心してください」 「日本は本当に先進国なのか?」と疑問を抱いてしまうほど、ドバイのほうが日本よりも何倍も清潔感があり、治安もよいのだった。

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サクッと起業してサクッと売却する 就職でもなく自営業でもない新しい働き方

正田圭

本書は「会社を売却することを前提に起業をする」という斬新な働き方を提案します。「起業はハードルが高い」「会社を売るのはさらに難しい」と思われがちですが、「会社を作って売却するのは、世の中に数ある儲け話の中で、一番確実で、一番地に足の着...もっと読む

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コメント

ikb 『貧すれば鈍す』、昨晩読んだバクシーシ山本さんのよりみちパンセにもあった。これは… https://t.co/KSHl6gLAz5 9ヶ月前 replyretweetfavorite

ikukyuiju 人生の踊り場。次の行き先を決める準備期間。 9ヶ月前 replyretweetfavorite