あなたが1億円持っていたとする。明日からどうするだろう?

「会社を売却することを前提に起業をする」という斬新な働き方を提案する、正田圭さんの新刊『サクッと起業してサクッと売却する 就職でもなく自営業でもない新しい働き方』の特別掲載、第9回。正田さんは、明確に自分の意志で働いている人が少ないと感じています。自由と言いながらも、世の中が決めた型の中にしっかりとはまってしまっている人が多いのではないか、と。

〔 第2章 〕会社売却で人生の選択肢は無限に増える

━自分の意志で働くということ━

 さて、あなたが29歳で1億円持っていたとする。あなたは明日からどうするだろう?
 今の仕事を続ける? 辞めて別のことをする?1億円のイメージが湧かない人は、こういう質問でもよい。 「もし、あなたの口座に毎月100万円が生涯振り込まれ続けるとしたら、あなたは今の仕事を続けますか?」 「そんなわけないだろ。今の仕事なんてすぐに辞めるよ」という人は、自分の意志で働いていないということだ。しかし、今の仕事を続けるという人も一定数存在するだろう。「自分は今の仕事にやりがいを感じているから、今の仕事を続けます」と。そういう人には、あえてもう少し踏みこんだ質問をしてみよう。 「それって本当だろうか?」

 かなり意地悪な質問かもしれないが、もし、あなたが29歳までの間に1億円の、使ってよいキャッシュを持ったことがないのだったら、その答えは真実かどうかかなり怪しい。
 この場合の1億円は、借りたお金でもなく、調達したお金でもなく、ビルの屋上からばらまいても誰からも文句を言われないお金のことだ。

 実際にその状況になってみないと、どんな行動をとるかなんてわからない。
 自分では「こいつとは絶対付き合わない」なんて思っていても、いざ告白されたらまんざらでもない感じがして付き合ってしまうとか、「ここは滑り止めの学校だから試験に受かっても行かない」なんて思っていても、結局そこしか受からずにその学校に進学するなんてこと、人生には多いのではなかろうか。

 心理学的には「自己肯定バイアス」というようだが、自己肯定バイアスがかかっているかどうかの証明は、実際その状況になってみないとわからない。

 今の仕事は、単なる後付けでやりがいを感じているだけではないのか?

 今、明確に自分の意志で働いている人が少ないと感じる。自由と言いながらも、世の中が決めた型の中にしっかりとはまってしまっている人が多いのではないか。
 例えば、「常に働かなければいけない」という意識を皆が持っているのも、型にはまっているなぁと思う。学校を卒業したら、どこかの会社に入るのが当たり前。もちろん働かずに楽して暮らせたらこんなにいいことはないが、そういうわけにいかないのが現実だと思っている。

 確かに、生きているとお金がかかる。働かなければ食うにも困る。税金だって年金だって払わなければならない。
 あなたの周りで、意図的に「働かない」ことを選択した人の話なんて、ほとんど聞かないだろう。

 ゆったりしたライフスタイルを実現するために、地方に引っ越して家賃や人件費などの固定費を下げ、人との打ち合わせなどのコミュニケーションコストを減らすという人は、最近少しずつ増えているようだ。だが、仕事をするかしないかまでの究極論にはなかなかならないのが現実だ。

「いい大人が職にも就かず、フラフラして。働かないなんてありえない」
 これが一般概念であり、それは都会でも地方でも違わない。

 日本では学校を出たら間髪容れずに就職し、同じ会社で定年まで勤め上げることが当然だと思われている。
 働くか働かないかを自分の意志で決めている人、働かされる要素が一切なく自分の意志で働いている人は限りなく少ない。


━「熱中できることを探せ」のウソ━

 働くか働かないかという話題は最近多い。少し前には「ワークライフバランス」という言葉が流行っていた。本来、仕事や労働は賃金を得るための生活の糧であるはずなのに、仕事のために私生活を犠牲にしてしまうのはおかしいという意見だ。

 最近では「クオリティオブライフ」という考え方が流行っている気がする。
「遊びを仕事にする」とか「好きなことを仕事にする」という考え方がそれだ。ただ漫然と人生を過ごすのではなく、自分が素直に「好き」と思えることを追求していく。それが結果として質の高い生活につながるということだ。「好きと思えることなら稼げなくてもよい。仕事に夢中になりすぎて時間を忘れてしまうくらい熱中したい」。つまり、公私混同こそがあるべき姿だという理屈である。

 水を差すようで申し訳ないが、僕はこの「好きなことを仕事にする」という考え方があまり好きではない。
 好きなことを見つけて仕事にするのは、もちろん良いことだ。もちろん素晴らしい。これを否定する気はさらさらない。ただ、自分の人生の大部分を賭けてもよいと思えるほど「好き」と言えるものがある人は、この世にどのくらいいるのだろうか。

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サクッと起業してサクッと売却する 就職でもなく自営業でもない新しい働き方

正田圭

本書は「会社を売却することを前提に起業をする」という斬新な働き方を提案します。「起業はハードルが高い」「会社を売るのはさらに難しい」と思われがちですが、「会社を作って売却するのは、世の中に数ある儲け話の中で、一番確実で、一番地に足の着...もっと読む

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