会社を売るのもトマトを売るのも同じ!

「会社を売却することを前提に起業をする」という斬新な働き方を提案する、正田圭さんの新刊『サクッと起業してサクッと売却する 就職でもなく自営業でもない新しい働き方』の特別掲載、第1回。サクッと起業してサクッと売却して、人生を豊かにしよう!

はじめに 会社を売るのもトマトを売るのも同じ

 僕はいわゆるシリアルアントレプレナー(連続起業家)だ。連続的に起業するとはどういうことかというと、会社を立ち上げて、売却して、また会社をつくって売却するということを飽きもせず延々と繰り返す人のことである。
 15歳の頃から、僕はこの連続的に起業することを生業にしている。

「会社を売った」というと、「会社を売るなんてとんでもない」とか「会社なんて簡単に売れるもんなんですか?」と返ってくることが多い。今でこそ、「起業して会社を売却した」といえば、「おぉ、すげーな」とか「おめでとうございます」と言われたりすることも増えてきた気がするが、そうはいっても、まだ「何かいかがわしいことでもしたのではないか」とか「金に目がくらんでるんだ」と思われていることも多いかもしれない。

 僕が本書を書いた目的は、この「会社を売る」という行動のメリットを皆さんに理解してもらうことにある。さらに言えば、「起業して会社をエグジット(売却)する」という「文化」を、日本でもっともっと普及させていきたいという強い思いがある。
 もしかしたら、本書をご覧になった皆さんのなかには、

「こいつは突然何を言い出してるんだ? 起業なんてタダでさえハードルが高いのに、それに加えて売却するだって? そんなこと、本当に限られた、運の良い一握りの人だけができることでしょ。自分には全然関係ないよ」

 なんて思われている方もいるかもしれない。

 ただ、僕はあえて言う。
「会社を売ることなんて簡単だ」

「売れる会社を作る方法は誰にでも実現可能である」

 僕に言わせれば、会社を売るのはトマトを売るのと同じだ。何の違いもない。ただの、「ものを売る」という行為だ。

 会社を5億で売るのも、5億のダイヤモンドを売るのも、5億の不動産を売るのも、何ら変わりはない。
 ハリー・ウィンストンで5億円の宝石を売っているお姉さんは普通に実在する。不動産屋で5億円の売買を成立させるお兄ちゃんも存在する。数億円の保険契約を成立させるおっちゃんだってたくさんいる。

 ただし、高価なものにはそれにふさわしい売り方がある。
 5億円の宝石を売ろうと思ったら、それなりの知識や売り方がある。

 ダイヤモンドの産地がどこなのか、どんな特徴があるのか、研磨やカットの技術・種類、重量や色、グレード、ブランドの歴史など、そのダイヤモンドの特長を伝えるさまざまな説明や証明書、高度な接客サービスが必要とされる。

 会社も同じだ。
 やり方さえわかれば売れるし、その価値に相当する会社だって、作り方さえわかれば作れる。

 2017年11月21日、スタートアップ界隈のエグジットニュースで衝撃的なリリースが流れた。インターネット総合事業を展開するDMM.com が、「質屋アプリ」CASHを70億円で買収したというのだ。CASHというアプリは、サービスを開始してからたった数カ月だ。起業してたった数カ月で、70億円もの金額で取引されるというのは日本初の事例だろう。CASHの運営者である光本勇介氏は、ブラケットという会社をも経営していて、以前ブラケットをスタートトゥデイに売却している(現在は買い戻し済)。つまり、CASHの売却は二度目のエグジットというわけだ。
 このような事例は、100年に1度あるかないかの話ではない。むしろ、こんなニュースは今後もっともっと増えていくはずだ。

「会社を売る」という行為は、あなたの人生を想像以上に豊かにすることにつながっていく。あなたの人生を豊かにするのは「たかがお金」なのだ。「たかがお金」なのだから、効率良く手に入れる方法を真剣に模索すべきだ。サクッと起業してサクッと売却して、人生を豊かにしよう。
 僕が伝えたいのはそんな話だ。

起業はハードルが高い?

 今回、執筆するにあたって、何人かの人たちと「壁打ち」をした。「壁打ち」とは僕の造語だ。これは、僕が昔からやっている、何かを進めるときの儀式のようなものだ。ある業界や分野で最先端を走っている人たちを無理やりお茶やランチに誘い(本人たちにはいい迷惑かもしれないが)、「こんなことやろうとしてるんだけど、どう思う?」なんて僕から一方的に延々と質問をする失礼な行為のことである。

 で、今回もその「壁打ち」を、いわゆるスーパー編集者たちとやったわけだが、みんなが口を揃えて「内容としてはおもしろいし、確かにと思うけど、起業ってただでさえハードルが高いわけじゃん?」という。
 実は、これを聞いて僕は飛び上がるほど驚いた。 「まだ起業がハードル高いって思う人たちがこの世に存在したなんて!」

 でも、僕が話をしているのは今の時代の最先端を走っている編集者たちだ。名前を出したら怒られるかもしれないが、僕が無理やり話を聞いてもらったのは、柿内芳文さんや箕輪厚介さんだ。柿内さんは『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』『嫌われる勇気』『漫画 君たちはどう生きるか』などの、箕輪さんは『多動力』『たった一人の熱狂』などの編集をやっており、間違いなく時代の先端をものすごい勢いで走っている。

 つまり、時代がわかっていないのは僕の方だということだ。

「起業はハードルが高い」
 この議論は、もう10年以上前に終わった話だと思っていた。先日、キングコングの西野さんが「まだ銀行に就職したいなんて言い出す大学生がいたなんて」と言っていたが、僕はこのニュースを、「そりゃまだいるでしょ」と思いながら見ていた。でも、「起業のハードルが高い」なんてまだ思われている時代だとは思わなかった。

 僕は、この「壁打ち」をした日に、会社を売ろうなんて言っている場合じゃないなと痛感した。「会社を作る」ことに対して高いハードルを感じているなかで、「会社を売る」なんて文化が根付くわけがない。

 サクッと起業して、サクッと売却するというライフスタイルが世の中に認知されるには、まだまだ時間がかかりそうだ。

 なぜ、こんなに起業のハードルが高い社会になってしまったのだろうか? そして同じく、なぜみんな会社を売るという発想にならないのだろうか?

 無駄に起業のハードルが上がってしまった理由としては、今のベンチャー企業の存在が大きいと思う。
 一昔前と異なり、起業のインフラは確かに整った。僕が起業した16年前は、ベンチャーキャピタル(VC)と知り合えるようなモーニングピッチなんて誰もやってなかったし、株式会社を作ろうとするだけで資本金1000万円以上を求められる時代だった。

 それが今は、いたるところでピッチは行われているし、エンジェルなんていう個人投資家も増えた。証券会社や監査法人も、年商が数千万円もないような会社であろうと、数人体制でまともに話を聞いてくれる。Tシャツにパーカーみたいないでたちの若い兄ちゃんの話を、ピシッとスーツを着たエリートサラリーマンたちがメモを取りながら聞く姿は、昔からすれば滑稽だが、今は当たり前の風景だ。

「ほら、こんなに起業のハードルは下がってますよ!」という人は多いと思うし、僕もそう思っている一人だったわけだが、これは、実はすごく狭いコミュニティ内での話なのだ。
 狭いコミュニティにもかかわらず、起業する人よりもお金を出したい人の方が多い状態になってしまっているから、より大きなことを言って、より多くのお金を引き出そうとするプレゼン上手の起業家が増えてきているのだ。確かに最近、大きなビジョンを壮大に語る起業家が増えた。

 誤解のないように言っておくが、起業家が大きなビジョンを語ることを批判しているわけではない。
 僕が伝えたいのは、ベンチャー界隈で暮らしている人たちは、閉鎖的なコミュニティを作り上げてしまったがために、やたら「大きなビジョン」を描く起業家が増えてしまったということである。そしてその結果、もともと起業を億劫に感じていた人が、より億劫に感じるようになってしまったという事実である。


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この連載について

サクッと起業してサクッと売却する 就職でもなく自営業でもない新しい働き方

正田圭

本書は「会社を売却することを前提に起業をする」という斬新な働き方を提案します。「起業はハードルが高い」「会社を売るのはさらに難しい」と思われがちですが、「会社を作って売却するのは、世の中に数ある儲け話の中で、一番確実で、一番地に足の着...もっと読む

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ayamin_minmin なんと「壁打ち」という言葉は正田さんの造語らしい...!知らなかった...😇 じゃあ私は「 #壁打ちデート 」で🙇‍♂️ https://t.co/pjTFyIiVwX 24日前 replyretweetfavorite

nogutaku https://t.co/hES3v8tmil 後日書評を書く(自分も載ってるから書評というか紹介記事かな〜)けど、ここでも読めるのでひとまず読んでみるとよいです 7ヶ月前 replyretweetfavorite