上場を目指し、本当の意味で未来を描き始めた
藤野 楽天を辞めて独立したときは、フリーランスのような感覚だったとおうかがいしました。そこから、さらに会社を組織化し、大きくしようと思われたのはなぜだったんですか。
経沢 会社を何年か運営して、それなりに苦労はしていたんですけど、今から思うとそんなにリスクも取っていなかったんですよね。女性社長自体がめずらしいので、それでお仕事をいただいたり、メディアに取り上げていただいたりしながら、クリーンヒットをコンスタントに打てていました。
でも、一人目の子どもを産んだ時に人生観が変わって、この子たちが大きくなった時の日本はどうなるんだろうと考えるようになりました。それまでは、どちらかというと半径3mくらいの視野しか持っていなかったんです。
藤野 なるほど。
経沢 その狭い視野で「会社はつぶれなければいい」くらいに思っていました。投資が好きだったので、株でもけっこう儲けていました。でも、今の時代の会社って経営者としてシビアにみたとき、ちょっときつい表現になりますが、上場しないと強く生き残れないのではないかと考えるようになりました。そのような目標をかかげ、覚悟を決めて、社会にメッセージを出して、優秀な人材を集めないとうまくいかないだろうと。小さな会社のままでやっていたら、志のある人をたくさん集めるのは難しい。
そこで、上場するという選択肢が現実のものになってきた。長い目で見れば、会社のため、社員のため、社会のためにもなると思ったんです。上場を目指して、人生が変わりましたね。
藤野 どう変わったんですか?
経沢 それまでは、なんとなくばくぜんと良い経営をしようと考えていましたが、完全に目的型思考に切り替わりました。まず夢や志があって、それを実現するために何が足りないのか、どんな人が必要なのか考える。やっと、自分で未来を描くということの本当の意味に気づけたと思います。
そして上場するならば、資本市場に愛されたいと思いました。資本家にも愛されて、やっと1人前だと。だから、投資家の方々にどう受け入れられるかということは、すごく考えていましたね。
藤野 そんな思いがあったんですね。
サイトに載っている顔写真と株価の関係
経沢 藤野さんから見て、トレンダーズってどんな会社に見えますか。
藤野 そうですねえ。起業してからの12年の経緯を見ていると、すごくしぶとい会社だなと思います。
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