SMAPメインの27時間テレビが放送されたのは、まだあのいいともグランドフィナーレの余韻がテレビに残る2014年夏のことだ。
時期を同じくして中居がよく言うようになっていた言葉がある。
「年齢を重ねると、やっぱり新たな可能性は狭くなってきてるとも思うけど、メンバーみんなそれぞれ、自分は新たに何ができるか、考えてるんじゃないかな」
「〝初めてのことをやる勇気〟を、いつまでも持つグループでありたい」
この27時間テレビの2014年をもって、SMAPはついにメンバーのほとんどが40代へと突入する。
しかしさらなる成熟に向かうそのタイミングでグループはあえて、挑戦を選んでいた。
それは新鮮で未知数のエンターテインメントであると同時に、SMAPにとってもこのままSMAPとして生きていく、その覚悟の意思表示の場だったのかもしれない。
番組では5人はそれまでタブーとされていたものに、自らの言葉をもって向き合った。メンバーの脱退、視聴率への恐れ、不祥事による活動自粛、そしてグループの解散。
途中には解散説をテーマにしたフェイクドキュメンタリーも放送され、その劇中で香取はこんなことをつぶやいていた。
「SMAPじゃなくなったら、僕は誰になるんだろう」
しかし不安と孤独をともに耐え抜いた2014年のSMAPは、もうすでにその答えを知っている。
だからこそ彼らはあの日、それが何であるかをテレビ画面に映し出そうとしたのだ。
SMAPが番組のフィナーレを飾る45分間のノンストップライブの最後に選んだのは1991年のデビュー曲『Canʼt Stop!!―LOVING―』、そして限界を超えた先に、メッセージは待っていた。
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