相手が「この人何言ってんの?」という顔をしている
オフィスの休憩所での「雑談」は、職場の人たちとのコミュニケーションを深める貴重な機会。
フランクな会話を通じて「自由にモノが言える雰囲気」をつくり上げることは、会社全体にとってメリットがあるでしょう。
そう考えたあなたは、今日もはりきって雑談にはげみます。
「タバコを悪く言う人たちって自分勝手ですよね? 自分たちだって、山ほどCO2を排出してるくせに(笑)」
こんなふうに、あなたがジョーク混じりで「あえて」きわどい話題を振って、ざっくばらんなムードを作ろうとしているのに、相手は「この人、何言ってるんだろう?」みたいな微妙な顔つきをしている……そんな経験はありませんか?
彼らはなぜ、あなたの「フランクな会話」に付き合ってくれないのでしょうか?
「あなたの価値観」を押しつけていませんか?
休憩所での、あなたのスピーチは続きます。
「誰だってタクシーくらい乗りますよね。タクシーに乗ったらCO2を出すじゃないですか。そのCO2と、ぼくのタバコとどっちが有害なんですかって話ですよ。ねえ?」
なかなかもっともらしいロジックなのですが、実はこれこそが周りのノリが悪い原因。
というのも「自分の主張を裏付けるために、都合のいいロジックや定義を持ち出してくる人間」に対して、日本人はなんとなく不安を感じ、本音を見せなくなるという傾向があるからです。
そもそも日本人は定義(決めつけ)をすること自体が苦手です。
「定義をする人」が嫌われるのは、「定義」に巨大なパワーがあるから。
いちど「定義」を作ってしまえば、ていねいな説明や説得の必要はもはやなく、「価値観」の流れができ上がってしまいます。周りはそれに従うしかありません。
「定義」を含んだ質問というのは、形の上では質問でも、実際には「価値観の押しつけ」になってしまっているんです。
「ですよね探知機」をインストールせよ!
「価値観の押しつけ」に対して反対意見を言うのは、ものすごくエネルギーを使うことなので、相手は「何言ってんだこいつ」という顔をしながらも、口先では「ですよね」「はいはい」を繰り返します。
なかにはそれを、「相手が同意している」と思い込んでしまう人もいますが、実に不幸な勘違いです。
「ですよね」「はいはい」は、こちらの話を聞いていない相手の反応だと覚えておきましょう。
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